テレワークの円滑な実施に向け、厚生労働省は3月下旬、従来のガイドラインを改定して「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」を公表した。「アフター・コロナ」「ウィズ・コロナ」の新たな日常、新しい生活様式に対応するため、2018年に策定したガイドラインを全面的に刷新。厚労省が労働政策審議会の3つの分科会に改定の狙いと要所を報告したが、コロナ禍における適切な対応として評価の声が上がる一方、「重要性と注目度からみて労政審で議論が必要だった」など、報告に至るまでの進め方に労使双方から不満も聞かれた。新ガイドラインのポイントを整理するとともに、労使の指摘を解説する。(報道局)
厚労省が18年2月に発表したガイドラインの名称は、「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」。今回は、「テレワーク推進」の内容であることを明確に示す観点から、タイトルに「テレワーク」と「推進」の言葉を盛り込んだ。
名称だけではない。労働基準関係法令の留意点など4項目で構成する従来のガイドラインを抜本的に見直し、導入の留意点やさまざまな労働時間制度の活用と工夫など、全部で11項目の大幅な"増強版"となっている。厚労省は昨年8月に有識者による検討会を設けて、昨年末に報告書を取りまとめ、年度内の公表を目指して改定作業を進めてきた。
曖昧(あいまい)な部分もあった「テレワークの形態」も整理。(1)労働者の自宅で行う「在宅勤務」、(2)中心オフィス以外に設けられた「サテライトオフィス勤務」、(3)臨機応変に選択した場所で作業する「モバイル勤務」――の3つに分類。いわゆる「ワーケーション」はモバイル勤務とサテライトオフィスの一形態とした。
具体的には、「導入に際しての留意点」「労務管理上の留意点」「さまざまな労働時間制度の活用」「労働時間管理の工夫」「安全衛生の確保」「労働災害の補償」「ハラスメントへの対応」「セキュリティへの対応」など、項目ごとに導入促進の視点で記されている。また、導入にあたっては正規・非正規を理由に可否を判断したり、出勤社員の評価をテレワーク社員より高くしたりするといった措置を取らないよう厳しく求めている。
では、労使はどの辺が不満なのか。3月上旬に厚労省は、労政審の雇用環境・均等分科会(4日)と安全衛生分科会(16日)、労働条件分科会(同)=写真=の3つの分科会でそれぞれ「報告」。改定に踏み切ったこと自体に異論はなかったが...
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