改正労働法や関連する改正政省令が4月1日に相次いで施行される。昨年の通常国会で成立、その後の労働政策審議会で政省令や運用ルールなどが決まった法律が大半で、雇用・労働のあり方や「働き方」に大きな影響を与える案件が目白押し。一方で、新型コロナウイルス感染拡大が収束しない中で、行政も企業も「アフター・コロナ」「ウィズ・コロナ」への対応に追われ、各種改正に十分な準備が整っていない模様だ。4月施行の労働法制の要所と狙いを整理する。(報道局)
法改正に伴うものでは、(1)中小企業を対象にした「同一労働同一賃金」(パートタイム・有期雇用労働法)、(2)70歳までの就業機会確保の努力義務(高年齢者雇用安定法)、(3)中途採用比率の公表義務化(労働施策総合推進法)――の3つがある。
また、政省令改正で人材サービス事業に関連するものでは、労働者派遣法関係で「へき地の医療機関への看護師などの派遣」と「社会福祉施設などへの日雇い派遣」の解禁。また、実務面では「雇用安定措置に係る派遣労働者の希望の聴取」と「マージン率のインターネットでの情報提供」の2項目が始まる。
職業安定法関係では「職業紹介事業者が『就職お祝い金』の名目で求職者に金銭などを提供する求職の申し込みの勧奨禁止」が適用される。
まず、法改正の3つの要所をまとめると、(1)「中小企業を対象にした『同一労働同一賃金』」は、正社員と非正規社員といった単に雇用形態の違いによって待遇および賃金の差を設けるのではなく、職務内容(業務の内容や職責)や配置変更の範囲などを根拠に、労働者を適正に処遇するもの。大企業では既に昨年4月に施行されており、あらためて待遇の差について見直しと改善が必要となる。
(2)「70歳までの就業機会確保の努力義務」は、企業に対し、「雇用による支援」として、定年廃止や70歳までの定年延長、他社への再就職の実現。または「雇用以外の支援」として、定年後または65歳までの雇用終了後に起業した人との間で70歳まで業務委託を締結----などを求める。
例えば、①定年延長、②定年廃止、③継続雇用制度、④70歳まで継続的な業務委託契約、⑤70歳まで継続的に社会貢献事業などに従事――のいずれかを実施する必要がある。③〜⑤は、対象者を限定することもできるが、その場合、過半数労働組合や過半数代表者の同意を得ることが望ましい。この改正に伴い、企業に毎年1回の提出を義務付けている報告の様式に、70歳までの就業確保措置の実施状況や適用状況の欄が追加される。
(3)「中途採用比率の公表義務化」は、従業員301人以上の大企業を対象に、中途採用の比率公表が義務付けられる。政府は「求職者と企業側のマッチングを促す効果が期待できる」としている。大企業に根強く残る新卒一括採用の仕組みを見直し、就職氷河期世代やシニア層の中途採用に加え、経験者採用の拡大を図りたい考え。具体的には、過去3年分の中途採用比率を自社のホームページに記すことが求められる。
そのうえで...
※こちらの記事の全文は、有料会員限定の配信とさせていただいております。有料会員への入会をご検討の方は、右上の「会員限定メールサービス(triangle)」のバナーをクリックしていただき、まずはサンプルをご請求ください。「triangle」は法人向けのサービスです。