労働者派遣法で原則禁止の「看護師派遣」について、厚生労働省は4月1日から「へき地の医療機関への看護師などの派遣」と「社会福祉施設などへの日雇い派遣」を解禁する。日雇い派遣の原則禁止が盛り込まれた派遣法の2012年改正以降、例外業務の追加に踏み切る見直しは初めて。73日間にわたる労働政策審議会労働力需給制度部会の集中審議を振り返りながら、政令改正に至った背景と影響を探る。(報道局)
12年改正から9年が経過。この間、使用者側は一貫して「現場実態やニーズを踏まえた派遣法の規制緩和」を主張してきたが、労働者側の反発は強く、業務に関する見直しは遅々として進んでいなかった。それだけ難易度の高い課題だが、今回、「看護師」という切り口で動いたことになる。
同部会は、昨年11月18日に本格審議に着手。年末年始を挟んで1月29日に決着するまで計6回にわたり、関係団体のヒアリングを実施するなど、医療政策上の観点と労働政策上の視点から迅速かつ丁寧に進めた=写真。現在、看護師など(看護師、准看護師、薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師)の派遣は福祉施設のみ認められており、病院などへの派遣は原則禁止。また、原則禁止の日雇い派遣において、看護師は例外業務の対象ではなく、業務の場所を問わず禁止されている。
今回の政令改正は、看護師などの「へき地に限定した派遣」と「社会福祉施設などに限定した日雇い派遣」であり、後者は看護師のみ。この2つはそれぞれ別のルートから検討を求められていた。「へき地」の方は、「地方からの提案等に関する対応方針」(19年12月閣議決定)を踏まえ、同じ厚労省の社会保障審議会医療部会からの要請。「日雇い」の方は、「規制改革実施計画」(20年7月閣議決定)に盛り込まれ、検討と速やかな結論を求められた。
事務局の厚生労働省は...
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