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2021年1月 1日

2021年、コロナ禍で進む雇用・労働の改正法施行

中小企業の「同一賃金」、70歳就業確保、中途採用比率公表など

 長時間労働の是正と同一労働同一賃金の実現を盛り込んだ「働き方改革関連法」をはじめ、この数年は雇用・労働に関する"重量級"の法改正が相次いだ。2021年もその流れは変わらず、さまざまな改正法の施行が予定されている。このうち、昨春から大企業と派遣事業者に適用されている「同一労働同一賃金」は、今年4月から中小企業も含めて全面施行となる。このほか、70歳までの就業機会確保の努力義務や中途採用比率の公表義務化など、企業の対応が必要となる改正法の施行期日やポイントなどを整理する。(報道局)

1月1日施行=育児・介護休業の1時間単位の取得
 子供の看護休暇や親の介護休暇などは、これまで半日単位での取得が原則で、所定労働時間4時間以下の短時間労働者は取得できなかった。1月からは、すべての労働者が1時間単位で取得できるようになる。(育児・介護休業法)

sc210101.jpg3月1日施行=法定雇用率が2.3%にアップ
 企業の障害者法定雇用率を0.1%引き上げ、2.3%とする。18年4月施行の改正法で、企業の法定雇用率は2.0%から2.2%に引き上げられており、さらに3年以内(今年3月末まで)に0.1%引き上げることが決まっていた。施行期日は昨年8月の労働政策審議会障害者雇用分科会で労使がギリギリの歩み寄りをみせて決着した=写真。この動きに合わせ、厚生労働省は企業と障害者双方の更なる支援強化に乗り出す。(障害者雇用促進法)

4月1日施行=中小企業で「同一労働同一賃金」
 正社員と非正規社員といった単に雇用形態の違いによって待遇および賃金の差を設けるのではなく、職務内容(業務の内容や職責)や配置変更の範囲などを根拠に、労働者を適正に処遇する制度が、中小企業でスタートする。大企業では既に昨年4月に施行されており、あらためて待遇の差について見直しと改善が必要となる。(パートタイム・有期雇用労働法)

4月1日施行=70歳までの就業機会確保の努力義務
 企業に対し、「雇用による支援」として、定年廃止や70歳までの定年延長、他社への再就職の実現。または「雇用以外の支援」として、定年後または65歳までの雇用終了後に起業した人との間で70歳まで業務委託を締結――などを求める。努力義務でスタートする。

 例えば、(1)定年延長、(2)定年廃止、(3)継続雇用制度、(4)70歳まで継続的な業務委託契約、(5)70歳まで継続的に社会貢献事業などに従事――のいずれかを実施する必要がある(3)~(5)は、対象者を限定することもできるが、その場合、過半数労働組合や過半数代表者の同意を得ることが望ましい。この改正に伴い、企業に毎年1回の提出を義務付けている報告の様式に、70歳までの就業確保措置の実施状況や適用状況の欄が追加される。(高年齢者雇用安定法)

4月1日施行=中途採用比率の公表義務化
 従業員301人以上の大企業を対象に、中途採用の比率公表が義務付けられる。政府は「求職者と企業側のマッチングを促す効果が期待できる」としている。大企業に根強く残る新卒一括採用の仕組みを見直し、就職氷河期世代やシニア層の中途採用に加え、経験者採用の拡大を図りたい考え。具体的には...


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