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2020年12月14日

来年の転職市場、緩やかに回復する?

コロナで進む就労変化、高スキル需要

 国内の転職市場は今春以降、新型コロナウイルスの感染拡大で急激に縮小した。現在は徐々に回復しているものの、その足取りは鈍い。2008年のリーマン・ショックを乗り越え、空前の人手不足を背景に拡大し続けた市場だが、コロナ禍で「売り手市場」から「買い手市場」への様相を強めている。来年は本格回復するのか、その条件を探った。(報道局)

 厚生労働省の有効求人倍率(パートを含む)は景気回復の息切れを反映して、19年前半の1.6倍台から後半には徐々に低下していたが、今年になってコロナ禍が拍車を掛け、3月の1.39倍から一気に低下して、10月は1.04倍まで下げている。

 同様に、正社員を中心とする転職市場もコロナの影響を被った。転職サービス「doda」を運営するパーソルキャリアがこのほど発表した「2020年転職マーケット」によると、同社が毎月公表している企業の求人数、転職希望者数とも14年以降、右肩上がりで増え続け、転職求人倍率(求人数を転職希望者数で割った数値)もほぼ2.5~3倍の間を維持してきた。

sc201214.png しかし、新型コロナが企業の採用意欲に水を差し、今年に入って倍率は急降下。緊急事態宣言の出た4~5月に様相は一変し、5月の2.03倍から6月は1.66倍と2倍の大台を一気に割り込み、それ以後も10月まで1.6倍台の横ばいで推移している=グラフ

 その最大の要因は企業の求人減。転職倍率の分子となる求人数の指数(19年1月=100)は、1~3月当時は100を超えていたが、4月に100を割ってから下がり続け、8月に67.8の底を付けた。9月以降は少しずつ上昇しているが、戻りは鈍い。これに対して分母となる転職希望者数の指数(同)も4月に94.1、5月も95.5と100の大台を割り込んだが、これを底に6月には再び110台に戻り、その後も上昇傾向にある。

 市場の落ち込みは実数ベースでも鮮明になっており、日本人材紹介事業協会が発表した今年度上半期(4~9月)の転職紹介実績によると、同社を含む紹介大手3社の紹介数は3万4983人(前年同期比16.5%減)となり、リーマン・ショック以来、10年連続で拡大を続けてきた市場はマイナスに転じた。紹介者数自体は19年度上半期に過去最高を記録した4万1894人から下落傾向にあったが、コロナ禍で拍車が掛かる形となった。

 ただ、業種別にみると、事情はかなり異なってくる。同社によると4月から全職種で倍率が低下したのは確かだが、それでも「技術系(IT・通信)」、「専門職」「技術系(建築・土木)」といった専門職は4倍を超える水準を維持している。一方で、それ以外の職種はもともと2倍前後で推移してきたが、5月以降は1倍台に下がり、とりわけコロナ禍に直撃された「販売・サービス」や「小売り・外食」、ウェブ広告を中心にした「メディア」、希望者の多い「事務補助」などは1倍を割り込んだままで、二極化傾向が鮮明になっている。

 職種以外の検索キーワード数では、「リモートワーク」が1年前の3倍、「副業」が同32%増となっているのが目立ち、「リモートワーク」では「フルリモート」というキーワードが初登場するなど、リモートワークへの関心の高さがうかがわれるという。緊急事態宣言下では、多くの企業が感染予防のためにリモートワークを導入した結果、企業側、転職希望者側の双方にとって、自宅などでも仕事のできる就労環境の整備が重要になったためとみられる。

「従来の価値観」から大きな変化

 では、来年の市場はどうなるのか。同社の予測によると、このまま徐々に回復傾向をたどるものの...


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