2020年度の最低賃金(最賃)は、事実上の"据え置き"となった。7月22日、厚生労働省の中央最低賃金審議会・小委員会が「目安を示すのは困難、現行水準の維持が適当」とする報告書をまとめた。目安額を示すことができなかったのはリーマン・ショック後の09年度以来、11年ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大による経済情勢の悪化を考慮し、雇用維持を優先した。今後、都道府県労働局の審議会が引き上げの有無や額を決め、10月から順次適用となる。(報道局)
6月26日から始まった今年度の最賃審議は、労使が一歩も引かぬ激しい攻防を展開。ヤマ場となる7月20日の小委員会は、足掛け3日にわたる異例の"長時間審議"を繰り広げたが一致点を見いだせず、22日に有識者からなる公益委員が最終裁定に踏み切った。公益委員は、宣言解除後も新型コロナの感染者数が増加しており、経済や雇用への影響が予断を許さないとして「目安額を示すのは困難。現行水準の維持が適当」との見解を示した=グラフ。
引き上げを巡って経営者側は、「新型コロナの直撃で足元の経済指標は最悪の状況」として凍結を要求。これに対し、労働者側は「経済再生に向けて内需喚起が不可欠」と引き上げを求めて譲らず、真っ向から意見が対立していた。政府が「早期の時給1000円達成」を目指し、16年度から4年連続で年率3%程度の大幅引き上げを実現してきた背景もあり、最終的に数円単位の引き上げで決着するのではないかという観測もあった。
しかし...
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