想定の1割に満たない3987人――。就労目的の外国人材の受け入れ拡大を狙って昨年4月に創設された新しい在留資格「特定技能」。出入国在留管理庁が5月末に発表した創設1年(3月末時点)の集計によると、政府が初年度に想定していた最大4万7000人を大幅に下回る結果となった。政府の肝煎りでスタートした制度だが、2年目以降も新型コロナウイルス感染症の影響で大きな伸びは見込めない。「特定技能」を取り巻く現状と今後の動きを探った。(報道局)
「特定技能」の在留資格には「1号」と「2号」がある。「1号」は「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ外国人に与えられ、在留期限は最長で5年。「2号」は「熟練した技能」を有する外国人に付与され、条件を満たせば長期の滞在や家族の同伴が可能。運用は「1号」を軸に昨春スタートした。
施行時点における受け入れ業種は、▽厚生労働省=介護業、ビルクリーニング業▽農林水産省=農業、漁業、飲食料品製造業、外食業▽国土交通省=建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業▽経済産業省=素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業――の14業種。政府は2019年度から5年間の受け入れ人数の上限を約34万5000人と想定し、当面は3年の実習期間を終えた外国人技能実習生の「無試験移行」に期待をかけていた。
運用開始とともに、業種ごとに所管する省庁が全国各地で説明会を展開。受け入れを視野に入れる業界や企業をはじめ、サポート業務を担う登録支援機関を目指す個人・団体などの関心は高く、経産省の講堂で開かれた「素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業」の3業種に関する説明会(昨年5月28日)も満席のにぎわいだった=写真。ところが、資格試験の実施の遅れに加え、使い勝手の悪さが原因で低調が続き、「特定技能」の運用で減少するとみられていた技能実習がさらに大きく伸びる形となった。
出入国在留管理庁によると...
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