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2020年4月27日

テレワークが容易に進まないワケ

「3密職場」の伝統が足かせに?

 日本企業のテレワーク(リモートワーク)が容易に進まない。新型コロナウイルスの感染拡大をストップするため、テレワークの拡大は官民挙げての緊急課題だが、インターネット環境の遅れなどと同時に、日本企業特有の職場環境もネックとなっている。(報道局)

 感染拡大の防止策として外出自粛や「3密(密閉・密集・密接)」回避が必須となり、企業も急速にテレワーク体制に移行している。パーソル総合研究所がこの動きを追って、3月と4月に2万人規模の調査を2回実施した。調査結果からは、日本企業が抱える課題が鮮明に浮かび上がってくる。

 4月10~12日時点の第2回調査における正社員のテレワーク実施率は27.9%、推定人数は約760万人。3月半ばの初回調査の13.2%、約360万人からそれぞれ2倍以上の14.7ポイント、400万人も増えた。

 4月7日に政府が東京など7都府県に緊急事態宣言を発令したことから、東京、大阪などのビジネス中心地域の企業がテレワークを急拡大させたため、とみられる。政府は16日、同宣言を全国に拡大したため、現在の実施率はさらに上昇している可能性が高い。

 しかし、「3割実施」を裏返すと、7割の企業ではテレワークを実施していないことになり、政府が要請している「7割の出勤減」には遠く及ばない。同調査によると、実施率の高いのは宣言地域の7都府県の38.8%で、東京に限ると49.1%の高さになるが、7都府県以外の地域では13.8%にとどまっている。

 また、企業規模でも大きな差があり、従業員1000人以上の大企業では実施率が43.0%なのに比べ、規模が小さくなるにつれて低下し、同10~100人未満の中小・零細企業では16.6%にとどまっている。7都府県以外の企業と中小・零細企業がテレワーク拡大のネックになっている様子がうかがえる。東京商工会議所が12日に発表した都内の中小企業調査でも、実施企業は26%で、従業員50人未満では14%に下がるなど、ほぼ同じ結果が出ている。

 一方、経団連が21日発表した調査では、テレワーク導入企業は406社中の98%に達しているが、全社員に占めるテレワーク社員の割合は約66%の76万人と推定され、大企業が加盟する経団連でも必ずしも十分浸透している状況ではない。導入に当たっての障害として「情報管理の懸念を含む社員の業務の性質」がダントツに多くなっている。

sc200427.png なぜテレワークができないのか。幾つか理由があるが、パーソル総研の調査では「テレワークでできる業務ではない」が47.3%で最も多く、「テレワーク制度が未整備」の38.9%、「ICT環境の未整備」の19.9%などが挙がっている(複数回答)=グラフ

 一般的に、テレワークに向いている職種はIT、通信、インターネット関連業務、金融・保険、会計などの事務職が挙げられ、これに対して医療・福祉職、小売り現場、サービス、配達・配送などの業務は向いていない、あるいは限界があるとされる。

「相手の気持ちがわかりにくい」が不安材料

 また、テレワーク実施者に実施前後で違った点を聞いたところ、「同僚や上司とのやりとりが減った」が半数前後を占め、「労働時間が減った」「組織の一体感」「仕事への意欲」などが減った人も3~4割いた。その結果、「相手の気持ちがわかりにくい」「仕事をさぼっていると思われないか」といった不安が多くを占める結果となった。

 これらの回答からは、多くの日本企業の職場風土が浮かび上がってくる。部課長らのトップを中心に...


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