新型コロナウイルスの感染拡大で、7月開催の東京五輪・パラリンピックの1年程度の延期が決まった。3月から本格化した感染防止に向けた政府の自粛要請は、事実上「人の移動と活動」を制限するもので、経済を直撃している。「瀬戸際の状況が続いている」(安倍晋三首相)だけに、4月以降も予断を許さない状況にあり、「深刻な人手不足」は一転して「雇用維持が最優先」に変わった。人材サービス産業に与える影響と政府が打ち出す雇用関連の経済対策について整理する。(報道局)
3月28日夕、安倍首相は新型コロナに関する会見で、「前例にとらわれることなく、思い切った措置を財政・金融・税制を総動員して講じる」と強調。2008年のリーマン・ショック時を上回る規模の20年度補正予算編成に踏み切る。会見では「正規・非正規を問わず、従業員を解雇しなかった企業に、雇用調整助成金の助成率を引き上げる」とも表明した。4月中の成立を目指す方針だ。
この4月は、抜本改正となる労働者派遣法やいわゆる「同一労働同一賃金」関連法が大企業で施行されるなど、空前の人手不足を背景に、厚生労働省はそれらの現場運用に注目していた。また、政府は昨年4月に創設した新在留資格「特定技能」の活用促進を加速させるが、一部の分野と業種を除いて人手不足の様相は一変している。
雇用に関する直近の動きでは、新型コロナに伴う業績悪化などで、解雇や雇い止めに遭う人が3月27日時点で約1000人に上る。各都道府県労働局を通じて厚労省が集計した。雇用調整助成金に関する企業からの相談は約4500件あり、今年4月入社の学生らの内定の取り消しは22件32人となっている。
こうした状況を受けて...
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