2020年の春闘は、世界的な景気減速に伴う国内景気の低下に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大という"緊急"要因が重なり、多くの企業で昨年を下回る回答が続出した。また、業界ごとに同一水準の賃上げを実現してきた「横並び春闘」がさらに崩れ、戦後日本を支えてきた労使慣行の終焉を強く感じさせる結果となった。(報道局)
連合が13日発表した第1回回答集計によると、平均賃上げ額(加重平均)は5841円(前年同期比1.91%増)となり、昨年を812円(同0.25ポイント)下回った。賃上げ率は14年から6年連続で2%台を維持してきたが、今年は達成できるかどうか微妙な情勢だ。
企業規模別では、組合員300人未満の中小企業は5255円(同2.05%増)とかろうじて2%台を維持。有期雇用などの非正規労働者は時給ベースで30.49円(同2.95円増、加重平均)、月給ベースで5710円(同1089円増)の引き上げとなり、時給ベースが30円アップとなったのは15年以降初めて。4月から大企業で施行される同一労働同一賃金をにらんだ回答とみられる。
こうした結果について、13日に記者会見した神津里季生会長=写真・中央=は「組合要求との隔たりはあるものの、おおむね、ここ数年の賃上げの流れを引き継いだもの」と成果を強調。経団連の中西宏明会長も「各企業労使が自社の実情に応じて協議を重ねた結果。ベースアップ(ベア)の実施や高水準の賞与・一時金の支給などの回答が多くみられたことは、率直に評価したい」とコメントした。
しかし、現実は労使トップの評価とはかなり違う。その象徴が、ベアゼロ回答の企業が相次いだこと。春闘相場の主役だった自動車業界の場合、トヨタやマツダがベアゼロの総額回答で、日産やホンダはベアを含む総額回答だった。とりわけ、トヨタのベアゼロは7年ぶりで、一律賃上げが限界に来ていることを象徴しており、業界を超えて産業界全体に及ぼす影響は大きいとみられる。
自動車だけではない。電機業界は...
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