労働者派遣法の2012(平成24)年改正と15(平成27)年改正の点検・見直し作業が、労働政策審議会で進んでいる=写真。昨年6月に着手して以降、事業者(派遣元)や受け入れ企業(派遣先)、派遣労働者へのヒアリング調査を重ねると同時に、現場の運用実態を把握するための施行状況調査(アンケート)を実施してきた。2月下旬までに両方の調査がヤマを越え、本格議論を始めるための「土台」が整った。「日雇い派遣の原則禁止」や「離職後1年以内の労働者派遣の禁止」「個人単位の期間制限」のあり方などが焦点となる模様だが、使用者側は「ニーズに即した適切な見直し」、労働者側は「安易な緩和の前にルールの定着」を基本スタンスとしており、今後の議論の行方が注目される。(報道局)
施行状況の点検と見直しについては、16年9月に厚生労働省が「都道府県労働局を通じた平成24年・27年労働者派遣法改正法施行状況調査」を労政審労働力需給制度部会に示して議論を促した経緯がある。しかし、当時の労働者側と公益委員から「検証する材料として足りない」など多くの指摘が挙がり、議論は事実上ストップしていた。仕切り直して議論に入る環境を作りたい厚労省だったが、その後、官邸主導による働き方改革関連のいわゆる「同一労働同一賃金」をめぐる改正派遣法(今年4月施行)の制度設計が先行され、大幅に遅れていた。
派遣法は改正のたびに制度と運用が複雑化しているため、議論のエビデンスとなる施行状況を把握する調査方法は難易度が高い。今回は、公益委員をはじめ、外部の識者や労使、事務局の厚労省、調査会社の協力があって、議論の土台となり得る調査結果にこぎ着けることができた。12年改正から7年半、15年改正から4年半が経過しており、今後の派遣制度の機能を考えるうえで重要なテーブルとなる。
議論の着眼点とスケジュールなどを整理すると...
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