政府や民間シンクタンクの2020年の景気見通しがほぼ出そろった。要約すれば、政府は内需拡大による税収増を目指して高い成長を見込んでいるのに対して、民間の多くは低成長を見込んでいる。来年は56年ぶりの東京オリンピック・パラリンピックが開かれ、国民の関心はもっぱら経済よりも五輪に向かうとみられるが、その間にも景気後退局面に入るかどうか、予断を許さない状況が続きそうだ。(本間俊典=経済ジャーナリスト)
政府が18日に閣議決定した20年度のGDP成長率は、名目で2.1%、物価上昇を0.8%としてそれを引いた実質で1.4%程度。名目GDPを約570兆円と見込んだ。実質成長率の内訳は、個人消費などの内需が1.5%、輸出入の外需がマイナス0.1%としている。19年度の実績見込みは名目1.8%、実質0.9%で、当初見込みの名目2.4%、実質1.3%を大きく下回った。それにもかかわらず、20年度は19年度を大きく上回る成長率になると予想した。
東京五輪が景気に及ぼす光と影は…
その最大の理由は、個人消費の持ち直し。今年10月に消費税率が8%から10%に引き上げられたが、引き上げ率が小幅だったことや、キャッシュレス決済のポイント還元などの政策効果で、増税前の駆け込み需要と増税後の反動減が、これまでの増税時に比べるとなだらかだったため、「増税の影響は限定的」との見方が大勢を占めている。
さらに、20年度は何といっても「五輪効果」が見込める。ホテルなどの建設需要はすでにピークアウトしたとみられるが、年間3000万人を超えると予想される外国人観光客や関連グッズの販売などが“本番”を迎える。インバウンド需要は五輪後も堅調に推移すると予想されるため、前回五輪の直後に起きた「昭和40年不況の再来はない」と言い切るエコノミストもいる。
ただ、過去の例をみる限り、日本を含む五輪開催国が何らかの「五輪ロス」を味わうのは必然で、年度後半の景気低迷に対するある程度の覚悟は必要だ。そのため…
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