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2019年12月 9日

「70歳雇用」めぐり戸惑う労使

フリーランス、起業、社会貢献

 政府の「全世代型社会保障」の一環として労働政策審議会で議論している「70歳までの就業機会確保」が大詰めを迎えている。現在、企業などに義務化されている65歳雇用に加え、「努力規定」としてさらに5年延長する狙いだが、年金受給開始年齢の絡みもあって労使の思惑のズレが目立つ展開となっている。(報道局)

 「70歳雇用」は今年6月、政府が閣議決定した「成長戦略実行計画」の中の主要テーマで、65~70歳の就業機会について「多様な選択肢を法制上整え、企業と該当社員が相談、選択できる仕組み」を作ることにしたもの。高年齢者雇用安定法などの改正案を作成し、来年の通常国会に提出する計画だ。

 選択肢としては、(1)定年廃止(2)70歳までの定年延長(3)継続雇用制度の導入(4)子会社・関連会社以外の他企業への再就職(5)個人とのフリーランス契約への資金提供(6)個人の起業支援(7)個人の社会貢献活動参加への資金提供――の七つを提示。これをたたき台に、企業側の選択に任せようというものだ。

 ただし、現行の65歳雇用では企業に雇用を義務化したのに対して、今回は「努力規定」とする。高齢者雇用と密接に関連する厚生年金支給開始年齢の引き上げはしないが、受給開始時期の選択範囲を拡大や、在職老齢年金の見直しなどは行う。これらの条件付きで、70歳雇用の実現を図るものだ。

 現行制度は13年に施行された改正法によって、60歳以降も定年廃止、定年延長、継続雇用などのどれかを通じて、65歳までの雇用を段階的に義務付けた。厚生年金など公的年金の支給開始年齢を段階的に引き上げ、25年までに65歳支給を完了することから、それまでの間、退職後に給与も年金もない「無給層」が出ないようにした。

sc191209_2.png これについては、大半の企業が60歳定年を維持したまま、一度退職してもらい、65歳まで嘱託・契約などの形で雇用を維持しているが、年金の65歳支給が全面開始となる25年からは希望者全員の雇用が義務付けられる。

 こうした経過を背景に、労政審では「高齢者の意欲・能力を生かすのは重要」という視点では一致したものの、具体策となると議論百出。(1)~(4)については、65歳雇用で“学習済み”とはいえ、使用者側委員から「高齢者に様々な希望がある中で、企業がすべて受け止めるのは難しい」「本人の体力的な理由で難しい場合も多い」といった意見が多く、すべての希望者を70歳まで雇用する案には難色を示している。

 また、(5)~(7)は前回の議論にはなかったテーマだけに、委員の戸惑いも大きい。フリーランスや起業の場合…

 

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