日本の多くの会社員は年次有給休暇(有休)を取得する権利があるのに、なかなか取ろうとしない、世界的に珍しい国だ。これでは働き過ぎが解消されないと、政府は今年度から会社に残業の上限規制と一緒に有休の“強制取得”を法的に義務付けた。10月を「有休取得促進期間」として、厚生労働省を中心に制度の浸透を図りたい考えだが、果たして効果は…。(報道局)
厚労省の就労条件総合調査によると、2017年に企業が社員に付与した有休日数は平均18.2日あったが、実際に社員が取得したのは9.3日で、取得率は51.1%。取得率でみると、従業員規模が小さくなるほど下がり、1000人以上の58.4%に対して、30~99人では44.3%に過ぎなかった。
有休取得率はバブル崩壊直後の1990年代前半までは50%台を超えていたが、その後は長期不況とともにどんどん下がり続け、2010年ごろには46%台まで低落。その後、徐々に上昇しているものの上昇率は緩慢で、17年になってようやく50%を超える状況だ=グラフ。それでも、政府目標の「20年までに70%」には遠く及ばない。
有休を取ろうとしない理由で、多くの会社員が挙げるのは「みんなに迷惑がかかる」「後で多忙になる」「職場の雰囲気が取りにくい」など。また、事故によるケガや病気になった場合に備え、給与が保障される有休をできるだけ残しておこうという心理も働いているという。
ただ、「周りに迷惑がかかる」「取りにくい職場雰囲気」といった感じ方は、有休の完全消化が当たり前の欧米諸国には理解できないようだ。日本企業の職場は、正社員を中心にしたチーム単位で仕事をするケースが多いことから、1人だけ違った行動を取ることに抵抗感を覚える社員が多い。“付き合い残業”などと同じ心理構造だ。また…
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