総務省の労働力調査によると、毎年増え続けていた女性の就業者(原数値)が6月に3003万人となり、初めて3000万人の大台を超えた。男女合わせた就業者は6747万人で、女性は44.5%を占める。出産・育児で仕事を離れる人が減ったこと、介護分野などで就労する女性が増えたことが主要因とされているが、問題は賃金など待遇の低さだ。生産性の上昇を伴う“戦力化”が今後の大きな課題となる。(報道局)
女性就業者は2010年以降、65歳以上の伸びが目立ち、6月時点では359万人と10年前より145万人増えたが、就業率は17.7%で高齢男性のまだ半分程度。しかも、就労分野は飲食・宿泊、医療・福祉の両分野が圧倒的に多く、どちらも賃金の低い分野だ。
女性パートは増える一方
両分野とも、人手不足の長期化で若者は賃金の高い仕事を希望し、両分野ともにそれを高齢女性のパートなどで穴埋めする流れが拡大。しかも、介護施設や自宅介護など、利用者もサービス提供者も地域性が高いことから、従来なら専業主婦だった女性の人手に頼る傾向が強まったためと考えられる。
しかし、飲食・宿泊はデフレ時代の経営モデルが色濃く残り、介護は介護保険を中心にした公的サービスが主なことから、生産性を向上できる余地は限られており、高齢女性の「余剰労働力」に頼る傾向が今後も続く模様だ。ただ、介護についてはすべての団塊の世代が75歳以上になる25年以降、10~20年ほどは介護需要も大きく伸びるとみられるものの、それに見合う労働力の供給がどこまで可能かは不透明だ。
女性の過半数は非正規、役員も1割以下
待遇改善という意味では、生産年齢人口(15~64歳)の女性の方が重要だ。出産・育児で一時的に仕事を離れ、その後に復職する状況を表す「M字カーブ」は近年、就業率の低下を示す中央の凹みが次第にフラットになり、欧米並みの80%前後に近づきつつある。子供ができても仕事を辞めない女性が増えた結果だが、注目されるのは…
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