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2019年6月10日

政府の規制改革推進会議が第5次答申

副業の日雇い派遣の規制緩和、議論は労政審へ

 内閣総理大臣の諮問機関である政府の規制改革推進会議が6月6日、保育・雇用など5分野と重要課題4項目に関する改革案を盛り込んだ第5次答申を提出した。重要課題の4項目の中では「多様な働き方に資するルール整備」を掲げ、「副業・兼業、テレワーク」を普及・拡大するうえで阻害要因はないか、特命課題を扱うタスクフォースを設置して検討してきた。答申で明記した「副業における日雇い派遣の例外規定の緩和」は、今夏開始の労働政策審議会のテーマのひとつとなる。日雇い派遣の原則禁止に関する見直し議論は、2015年秋以降、2度にわたり浮上して立ち消えとなっている。今回の労政審での公労使協議の開始を前に、これまでの経過と背景を整理し、今後の展開を探る。(報道局)

 労働者派遣法は、国会動向や経済情勢、与野党の意図と思惑に激しく翻弄されるため、“政治法”と揶揄(やゆ)される。2012年10月施行の改正派遣法で日雇い派遣の原則禁止(30日以下、例外の業務と属性あり)が始まり、その際、属性では(1)60歳以上の人、(2)雇用保険の適用を受けない昼間学生、(3)副業で従事する人で、生業収入が500万円以上、(4)主たる生計者でない人で世帯年収が500万円以上――4つが例外となった。3年後の見直しが法律に明記されていたが、15年改正(現行法)は成立までに3国会をまたいだうえ、施行日まで18日前というタイトな状況となり、「働く人の立場に立った年収要件の見直し」が見送られた。

 翌年の9月にも、厚労省は労政審・労働力需給制度部会に「12年改正と15年改正」の見直し議論を提案。これまでの実施状況を労使委員に説明したが、主に労働者側から「見直し議論を始めるに必要なデータの蓄積がない」「時期尚早」などの声が挙がり、進展を見なかった。

sc190610.jpg 今回の労政審での議論開始だが、厚労省は規制改革推進会議の答申に押されて見直し議論を始めるというスタンスではない。あくまでも、12年改正から6年半以上、15年改正から3年半以上が過ぎて見直しのタイミングになったため、「12年改正と15年改正の全般にわたる見直し議論に着手する」という姿勢だ。従って、ピンポイントで日雇い派遣の例外規定の見直し議論に進むのではなく、労使それぞれの視点と立場から課題や指摘が挙がる中で、必要な見直しテーマを詰めていく段取りを踏まえるとみられる。

「副業の年収要件は緩和すべき」、規制改革の着眼点と課題

 「多様な働き方に資するルール整備」を集中議論してきたタスクフォース(八代尚宏主査)=写真・右=は、副業における派遣について、本年度に検討を開始して速やかに結論を出すことを求めている。

 基本的考え方として…

 

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