日本の労働人口はここ10年、主力となる若手・中高年の減少を女性と高齢者の増加で補う形で増え続けてきた。しかし、令和時代は人口減が加速して、平成時代のような働き手の増加は見込めず、企業にとって生産性の向上が存続の成否を決める最大のカギになりそうだ。(報道局)
総務省によると、日本の生産年齢人口(15~64歳)は1997年の8699万人をピークに減少し続けており、2015年には7728万人まで減少。毎年50万人程度減り続けている計算だ。最新は昨年11月の約7476万人となっており、減少数は一段と加速している。
スーパーも省力化は道半ば
一方、企業のサラリーマンらの就業者数は増減があったが、08年のリーマン・ショックをきっかけに不況入りした10年度の5982万人を底に、現在まで一貫して増え続け、18年度は6681万人。毎年、77万人前後のペースで増えており、就業率(15歳以上人口に占める比率)も年々上昇、18年度は60.2%と初めて60%の大台を超えた。就業者増の裏返しで失業は減り続け、18年度の完全失業者は166万人、完全失業率は2.4%とバブル期並みの低さだ。
生産年齢人口が急減している一方で、就業者が増えている最大の要因は、女性と高齢者の就労が増えているため。18年度の場合、自営業者らを除く被雇用者のうち、正社員は3494万人、非正規社員は2132万人。比較可能な15年度当時の各3327万人、1986万人に比べると、4年間で正社員は167万人、非正規社員は146万人増えた。
増加数の内訳をみると、最も多いのは女性の非正規社員の111万人で、正社員も89万人増えている。日本の女性は従来、結婚・出産・育児で退職、休職する人が多く、子育てが一段落するとパートなどの非正規で復職するケースが一般的だった。その間、就業率が低下する「M字カーブ」が大きな課題だったが、この数年でカーブの凹みが緩くなり、課題はほぼ解消に向かっている。
女性に次いで増えたのが、生産年齢人口にカウントされない高齢者だ。65歳以上の男女が正社員で18万人、非正規社員で91万人も増えた。合計すると、4年間で100万人以上も増えた。非正規社員の増加は、高年齢者雇用促進法の改正によって、男性社員を中心に60歳の定年後も契約・嘱託などで65歳まで就労できる人が増えた結果だ。女性も、年齢に関係なく非正規のまま長期の就労を続ける人が増えた。
バブル崩壊後の日本企業は…
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