日本経済は景気拡大を続けているのか、それとも景気後退に入ったのか、議論が錯綜している。内閣府が毎月公表している景気動向指数が2、3月と連続で「下方局面」を示したことから、3月の月例経済報告で基調判断を弱めたためだ。日銀の企業短期経済観測(短観)も景気減速をにじませており、1月に政府が発表した「戦後最長の景気」が実現したかどうか、微妙な情勢となっている。
このところ、景気関連指標が弱含んでいる。内閣府が3月22日に発表した景気動向指数(CI、2015年=100)は、景気の現状を示す一致指数は1月が98.1となり、昨年11月から3カ月連続で低下したため、内閣府はそれまでの「足踏み」から「下方への局面変化」と判断を後退させた。4月5日に発表した2月の指数は98.8(速報)と4カ月ぶりに上昇したが、単月だけでは判断がむずかしいことから、「下方への局面変化」を据え置いた。
個人消費は底堅い動き
CIはマクロ景気に関する有力指標で、判断は「改善」「足踏み」「局面変化」「悪化」「下げ止まり」の5段階に分かれ、「局面変化」はさらに「上方」と「下方」の二つに分かれる。「下方への局面変化」は景気の山が足元での判断より数カ月前にあった可能性が高いことを意味していることから、今年1、2月と2カ月連続で「下方への局面変化」が続いたことは、昨年秋から年末にかけて景気がピークアウトして後退局面に入った可能性があることを示唆している。ただ、CIの判断は「機械的」なもので、他の要因も加えた総合的な景気判断に直結するとは限らない。
日銀が1日に発表した3月の短観では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)はプラス12となったが…
(本間俊典=経済ジャーナリスト)
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