2019年の春闘が本格始動した。賃上げの必要性については連合と経団連の労使で一致しているが、賃上げ手法を巡っては見解が異なる。月例賃金と給与の絶対水準にこだわる連合に対し、経団連は年収ベースでの賃上げや総合的な処遇改善を主張する。政府が経団連などを通じて露骨に賃上げを迫る「官製春闘」が影を潜め、6年ぶりに「労使のみで決める」という本来の姿に戻った。3月13日の集中回答日に向けた今春闘の動きを整理する。(報道局)
経済や社会構造が変化する中で、連合は「新たな要求のあり方」を模索してきた。連合の神津里季生会長は昨年10月の記者会見で「(ベースアップの要求を)やらないことはあり得ない。ただし、賃上げの成果を中小企業の労働者や非正規労働者などに広く波及させていくため、従来までの賃上げの上げ幅だけでなく、賃金水準を上げる必要がある」と強調。「数字ありきの議論から一歩踏み込みたい」と、傘下の構成組織と議論を深めていく姿勢を示した。
こうした経緯を踏まえ、2月4日に都内で開いた「2019春闘総決起集会」=写真=で神津会長は「賃上げは、縮まらない格差という現実を直視して、上げ幅だけでなく水準にこだわった取り組みを」と訴えた。具体的な要求をみると、「ベア2%程度を基準とし、定期昇給相当分を含む4%程度」の引き上げを念頭に大企業と中小企業の一層の格差縮小を目指す。格差是正では、非正規について前年より50円高い「時給1050円」を目標とする。この時給については、高卒初任給などとの均等待遇を重視した。
一方、使用者である経団連のスタンスは…
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