労働政策審議会の雇用環境・均等分科会で議論されてきたパワーハラスメント(パワハラ)について、労政審は職場のパワハラについて法律で企業に防止を義務付けることで決着、厚生労働省は法案作成の作業に入った。パワハラの禁止規定は盛り込まないものの、議論の過程で「パワハラは悪」という認識はかなり広がった。しかし、職場の人間関係が大きく絡むだけに、何がパワハラになるのか、防止義務だけで根絶できるのか、企業側には戸惑う声も多い。(報道局)
労政審ではパワハラの定義を(1)優越的な関係に基づく(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により(3)労働者の就業環境を害すること(身体的もしくは精神的な苦痛を与えること)――の3要素を満たす場合とした。
連合主催の「ハラスメント対策の法制化
を求める集会」(11月14日・東京)
今後、企業は「予防・解決に向けた」措置を講じることが義務付けられ、セミナーの開催、相談室の設置、調停制度の周知などを通じて、社員の意識を高めるよう努めなければならない。しかし、「厳しい指導」との線引きや社員同士の「いじめ」は該当するかなど、パワハラの共通イメージを構築していくのは容易でない。
最もわかりやすい例としては、職場の上司が部下の失敗をとがめて「お前みたいな給料泥棒は死んじまえ」とどなったり殴ったりして、自殺に追い込んだようなケース。しかし、現代の職場ではこの種のわかりやすい暴力型より、陰湿なネチネチ型のパワハラも多く、気の弱い被害者がうつ病などの精神疾患に追い込まれるケースが急増しているのが特徴だ。
どんな優良企業であっても、職場に「嫌な上司」や「扱いにくい部下」がいるのはむしろ普通で、ひと昔前までは「人間関係も給料のうち」と割り切る雰囲気が一般的だった。新人教育なども…
※こちらの記事の全文は、有料会員限定の配信とさせていただいております。有料会員への入会をご検討の方は、右上の「会員限定メールサービス(triangle)」のバナーをクリックしていただき、まずはサンプルをご請求ください。「triangle」は法人向けのサービスです。