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2018年12月10日

道遠い障害者雇用の「戦力化」

法定雇用率達成優先のツケ?

 政府機関の障害者雇用が大量に水増しされていた事件は、雇用の数合わせだけを求める制度の欠陥が露呈したものだが、障害者雇用に詳しい中島隆信・慶応大学商学部教授がアデコのセミナーで行った講演では、欠陥制度の根底には障害者を「本業での戦力」として扱おうとしない社会、企業の未熟さがあるという。(報道局)

sc180416_1.png 障害者雇用促進法の改正により、官民の障害者雇用義務が強化されている。今年4月から企業の法定雇用率は2.0%から2.2%に引き上げられ、対象企業も従業員50人以上から45.5人以上に拡大、障害者に精神障害者が加わった。これらを見越した企業の障害者雇用数は大きく増えており、2017年時点で約49万6000人。10年前の1.5倍で、ここ数年は2万~3万人ペースで増えている=グラフ

 法定雇用率を達成できない未達成企業は「納付金」という名の罰金を支払い、その一部は達成企業に「調整金」として支給される。税金などの公的資金を使わないため、一見、合理的な制度にみえる。しかし、制度開始の1975年当時(法定雇用率1.5%)は中小企業の1.71%に対して大企業は0.82%だったのが、2000年頃には逆転し、15年(同2.0%)には中小企業の1.6%に対して大企業は2.16%に開いている。経営に余裕のない中小企業から、余裕のある大企業へ“補助金”が流れるという構図になっている。

 そもそも、納付金制度は未達企業の存在が前提となっているため、法定雇用率を上げれば、その分だけハードルが上がり、未達企業が常に存在するという制度矛盾がある。それでも…

 

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