パワハラをどうやって防ぐか――。労働政策審議会の雇用環境・均等分科会で職場のパワーハラスメント(パワハラ)とセクシャルハラスメント(セクハラ)の防止策に関する議論が始まった。とりわけ、パワハラは従来の日本の職場風土では改善が困難なテーマであり、同分科会が有効な防止策を打ち出せるかどうか、注目される。(報道局)
パワハラ防止については、2012年3月、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」が出した報告・提言が初めてまとめた。職場におけるパワハラの概念として、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの優位性を背景に、業務の適正範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為」と定義。
具体的には(1)暴行・障害などの身体的攻撃(2)脅迫・暴言などの精神的攻撃(3)隔離・仲間外しなど人間関係からの切り離し(4)不要業務や過大業務の強制(5)程度の低い業務など過小な要求(6)私的領域に立ち入る個の侵害――の6パターンを挙げており、これがその後の議論のベースになっている。
これらを受けて、政府は啓発セミナーなどの開催、多くの企業は相談窓口の設置などに努めてきたにもかかわらず、パワハラは増加の一途だ。厚生労働省が毎年公表している「個別労働紛争解決制度の施行状況」によると、相談コーナーに寄せられる相談内容のうち、2006年度当時は「解雇」が23.8%で最も多く、「いじめ・嫌がらせ」は10.3%程度だった。
それが年を追うごとに「いじめ・嫌がらせ」の比率が高まり、12年度に「解雇」を抜いてトップになって以降も増え続けている。16年度には7万917件、22.8%に達した=グラフ。厚労省は、「相談内容がすべてパワハラに該当するわけではない」としているものの、有効な対策を打ち出せない現状に焦りを強めている。
このため、厚労省は16年に企業と従業員に対するパワハラ調査を実施するとともに、17年5月に「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」(佐藤博樹座長)を設け、10回の議論を経て今年3月に報告書をまとめた。ただ…
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