明るみになった中央省庁や地方自治体による障害者雇用の水増し問題。その規模は拡大している。対象にならない障害者を大量に雇用していたものだが、障害者雇用促進法に対するコンプライアンス(法令順守)の基本姿勢が欠如していたとして、障害者や民間企業などからの批判が強まっている。(報道局)
政府が昨年暮れに発表した「障害者雇用状況」(昨年6月1日時点)では、公的機関の雇用は国が7593.0人(実雇用率2.50%)、都道府県が8633.0人(同2.65%)、市町村が2万6412.0人(同2.44%)、教育委員会が1万4644.0人(同2.22%)。これに対して、民間企業は49万5795.0人(同1.97%)だった。
今回、水増しが発覚したのは「国」のうちの行政機関。点検結果では、33行政機関の8割にあたる27機関で従来公表の6867.5人から3460.0人の水増しがあり、その結果、実雇用率も2.49%から1.19%と半分以下にダウンした。
最も水増しが多かったのは国税庁の1022.5人で、国土交通省の603.5人、法務省の539.5人が続き、雇用率は各2.47%、2.38%、2.44%から一気に0.67%、0.70%、0.80%に下がった=表。いずれも、障害者手帳の保有者以外の軽症者や病気療養者らを雇用していた。
今回の調査は行政機関だけで、同じ国の機関である立法機関には84.5人、司法機関には641.0人の障害者がいる。また、都道府県など自治体の調査はこれから本格化する。政府は8月28日に関係府省の連絡会議(議長・加藤勝信厚労相)を設置。同月末に全国の自治体に対して、国と同様に雇用状況について報告を求め、10月中には公表する見通し。自治体の雇用者数が多いことから、水増しがどの程度まで広がるのか予測は困難だ。
障害者雇用促進法では、企業や公的機関に障害者の雇用を義務付けており、17年度までの法定雇用率は企業が2.0%、国や自治体は2.3%、教育委員会は2.2%。今年4月から従来の身体障害者、知的障害者に精神障害者が新たに加わり、雇用率も各2.2%、2.5%、2.4%に引き上げられたが、今回の問題は17年度が対象となっている。
これほど大規模な水増しが長年にわたって続いた理由は…
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