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2017年9月25日

衆院解散へ、「働き方改革関連法案」の成立は年明け以降

「拙速・強引」の批判押し退け準備整えるも、首相自ら水を差す

 28日召集の臨時国会冒頭で衆議院は解散、10月22日投開票の総選挙が確定的となった。安倍晋三首相は「地方創生」や「一億総活躍」、直近では「人づくり革命」など、毎年のように看板政策を打ち上げているが、その都度、国民の期待を集めながら一定の成果や評価を得られないまま先細りになっている感が否めない。

 そうした状況の中、安倍首相が特に力を注ぎ、自ら陣頭指揮を執って臨時国会の最重要法案と位置付けていた「働き方改革関連法案」。過労死撲滅に向けた長時間労働是正や雇用形態にかかわらない待遇確保の法整備を核としており、法案準備までの過程で経済界や識者の一部から挙がった「拙速・強引」の批判を退け、「官邸の突破力」を見せ付けて辛くも提出の段取りを整えた。しかし、解散によって国会提出の流れは宙に浮き、年内成立は絶望的。2019年4月としていた施行期日に影響がでる可能性もある。働き方改革に与える解散の余波を検証し、今後の見通しを整理する。(報道局)

与党内からも「看板政策はスローガン先行」との批判

is160919.JPG 8つの改正法案を束ねた「働き方改革関連法案」の国会提出は、9月15日までに労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の「おおむね妥当」の答申で準備が整った。昨年1月の通常国会で安倍首相が「同一労働同一賃金の導入に向けた法整備」について言及してから、残業時間の罰則付き上限規制と並走する格好で官邸主導で切り盛り。関連法令の改正の方向性や考え方をはじめ、議論の進ちょくをうかがいながら巧みに複数の会議体を設けるなど、「スピード感」を重視してきた。

 日本の雇用慣行の見直しが必要な難易度の高い改正法案が複数あるが、安倍首相は「喫緊の最重要課題」と強調。今年3月に政府の働き方改革実現会議が「実行計画」を公表し、それに沿って厚生労働省はタイトな日程の中で各種改正法に該当する労政審の分科会や部会を走らせてきた。これに呼応するように、働き方に関連するさまざまな話題がマスコミ各社で連日のように取り上げられるようになり、企業などでは法改正を先取りした動きも活発化。臨時国会での法案提出と審議の行方、審議を踏まえた修正の有無などが注目されていた。

 それだけに、衆院解散がこうした流れと醸成されてきた雰囲気に「水を差した」ことは間違いない。これまで約1年半におよぶ関連法案策定の経緯を振り返ると、企業や労働者、行政の「ある種の緊張感」が途切れてしまう懸念もある。幾多の難題や紆余曲折を経て15日に準備は整ったものの、翌16日に安倍首相は解散の意向を政府・与党幹部に伝えている。加えて、8月3日の改造内閣で「仕事人内閣」と胸を張った閣僚の“仕事ぶり”と成果、実績が見えない段階での解散だ。与党内からも「閣僚は困惑しているだろう」、「これまでの看板政策はスローガン先行、成果不明瞭」との批判の声が聞かれる。

 解散になると、上程中の未着手の法案、また衆参で審議途中の法案はすべて廃案となり、15年に提出済みの高度プロフェッショナル制度の創設などを盛り込んだ労働基準法改正案(15年法案)も廃案。衆院本会議の場で、法案取り下げの手続きは不要となるが、廃案となる法案の骨格は8本セットの「働き方改革関連法案」の中に含まれており、総選挙後の国会で政府が法案を提出すれば与野党の対決法案として重要広範議案になるのは必至の情勢だ。

10月下旬予定の特別国会以降の流れと法案の見通し

 総選挙後は10月下旬をメドに特別国会が召集される。衆参の首班指名選挙で…

 

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