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2017年2月 6日

労使の「春闘=賃上げ」は曲がり角

働き方改革、どこまで合意できるか

is170206.JPG 2017年春闘は、連合が3日に開いた中央総決起集会で本番を迎えた。週明けから自動車、電機などの大手労組が経営側に要求を提出し、3月15日の集中回答日に向けて労使交渉が本格化する。今年も政府が経営側に賃上げを促す「官製春闘」の色合いが強まっているものの、過去3年間続いた「2%台、5000円超」の賃上げを実現できるかが焦点になりそうだ。さらに、今年は労使とも「長時間労働の是正、過労死防止」を掲げているのが特徴。法改正も絡むテーマだけに、短期間で労使がどこまで合意できるか注目される。(報道局)

 経営側が年収ベースでの賃上げを重視する姿勢を強める中、労組側が重視するベースアップ(ベア)がどこまで広がるかが最大の焦点。厚生労働省の毎月勤労統計調査(従業員5人以上)によると、昨年1~11月の賃金指数は名目、実質とも0~1%の低水準ながらプラスで推移しており、「官製春闘」が始まってから初めて名目、実質ともプラスになる公算が高い。

 しかし、大手企業がこれまで実現してきた2%台の水準に比べると給与の伸びはかなり低く、賃上げ効果が中小企業まで十分行き渡っていないことがうかがわれる。このため、連合傘下の中小共闘センターの代表が大手による“中小イジメ”をけん制、政府も監視の目を光らせるなど、「すべての労働者の底上げ」を図っているが、効果は未知数だ。

正規・非正規の格差縮小、生産性向上が必須

 政府がデフレ脱却に向けていくら労使の尻を叩いても、効果が十分出て来ない背景には、まず雇用者に占める非正規労働者の拡大が挙げられる。非正規は雇用・賃金体系が正規労働者と大きく異なり、両者を隔てる“壁”が高いことから、正規の賃上げがそこそこ実現しても、非正規にまで賃上げの波は波及しにくい構造になっている。このため、政府は「働き方改革実現会議」に同一労働同一賃金に向けたガイドライン案を提示するなど、両者の格差縮小を狙う議論を開始したが、今春闘に反映される可能性は低い。

 もう一つの背景が長時間労働だ。仮に今年も2%賃上げが実現しても、労使が残業代を含めた賃金水準を念頭に置く限り、長時間労働は減らず、生産性も高まらないため、賃上げ効果は帳消しになる。また、賃上げの一部が税金や社会保険料の増加につながり、短期的には賃上げほどの給料アップが実感できないことも、消費拡大を阻害していると指摘される。

 賃上げが労働時間を減らした分の減収を補い、ワークライフバランスの向上に寄与するのがベストの流れだが、それには仕事自体を減らしたり、業務の効率化といった生産性の向上が必須課題となる。これまでの労使交渉は正社員の処遇向上が中心だったため、労使ともに時短や生産性向上に対する取り組みは後手に回り、先進国で最低レベルから抜け出せない非効率さを抱えたまま今日に至っている。短期決着の春闘に限定せず、息の長い取り組みとして改善を図らなければ、賃上げ効果は今後も不十分な結果に終わる。

 

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