日本人材派遣協会が8月18日に発表した2016年第2四半期(4~6月)の派遣事業統計調査(499事業所)によると、派遣社員の実稼働者数は平均30万9332人(前年同期比3.2%増)となり、13年第3四半期(7~9月)から12四半期連続で増加した。正規、非正規ともに企業の求人意欲は高く、こうした全体的な動きと同様に派遣需要も伸び続けている。一方で、人材の払底感も強く、伸び率は微増傾向にある。(報道局)
業務別では、大きな割合を占める「一般事務」が11万982人(同53.8%増)、「機器操作」が6万7575人(同14.3%減)、「財務」が1万5737人(同15.8%減)となっている。割合が小さい「情報処理システム開発」は6462人(同10.5%減)、「貿易」が6213人(同17.9%増)、「営業」は4053人(同9.6%減)、「販売」が6236人(同11.0%増)、「製造」が9240人(同8.4%増)、「軽作業」は7729人(同35.7%減)だった。
一方、「紹介予定派遣」の稼働者は6045人(同16.6%減)と4四半期連続の減少。派遣先企業に正社員などで雇用される成約件数も2884件(同5.1%減)と減少傾向が続いている。
短期派遣の「日雇い労働者」は8万4567人(同9.2%増)となり、前年割れを脱した第1四半期に続いて増加した。
昨年9月末に施行された改正労働者派遣法で、期間制限のない政令26業務と制限のある一般(自由化)業務との区分が撤廃されたことに伴い、「政令業務と自由化業務」という分類はなくなった。しかし、既契約については旧区分の存続を3年間認める経過措置が取られたことなどから、派遣会社によっては旧区分のまま集計する企業と、すべて「一般事務」として新たに集計する企業に分かれている過渡期にある。
このため、15年第4四半期(10~12月)あたりから旧区分の「機器操作」などが減少する一方で、「一般事務」が大幅に急増する状態となっており、今年第3四半期ぐらいまで、この転換の余波は続くとみられる。
「北海道」「東北」のみ減少続く
同調査では全国を10ブロックに分けており、「北海道」は第1四半期に約2年ぶり、「東北」は約1年半ぶりの前年割れとなったが、今回もこの2ブロックのみ減少が続いた。一方、稼働数最大の「南関東」は13年第3四半期からの増加が続き、実稼働者数は17万1044人で前年同期から4000人近く増えた。
「北関東・甲信」は鈍化傾向。一方、「北陸」「東海」「中国」「近畿」「四国」「九州」はいずれも3~6%の伸び率をみせ、堅調を維持している。