厚労相の諮問機関である「労働政策審議会」のあり方を見直す有識者会議が、7月26日に初会合を開いた。日本の労働法制・政策のプロセス過程で「必須の議論の場」となっている労政審。主に大学教授ら専門家による公益委員、連合から選出される労働者側委員、経団連をはじめとする経済団体による使用者側委員の3者構成で議論を展開しているが、その慣例となっている「仕組み」に一石を投じる動きだ。課題がある認識は共有しつつも、改善すべき方向性と視点は関係者によってさまざま。初会合での塩崎恭久厚労相の発言に注目し、着眼点と今後の流れを整理する。(報道局)
会議設置に至った経緯と経過
現在の委員構成のあり方を含む政策決定過程の見直しなどを協議するのは、「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」。経済界、労働界、研究者の若手から重鎮まで多彩な顔触れの13人が委員を務め、政府の規制改革会議の議長代理などで活躍する大田弘子氏や、前厚労事務次官の村木厚子氏、連合前会長の古賀伸明氏らも名を連ねる。
労政審のあり方については、多様な働き方が広がり、少子高齢化の中で今後もさまざまな働き方の拡大が確実視されることから、「政策プロセスおよび審議機関(労政審)の見直し」の声が挙がっていた。既に昨年6月の政府の規制改革会議でも提言されていたテーマで、「多様な働き手のニーズに応えていくため、例えば労働政策審議会の構成委員について、現在の三者構成を否定するものではないが、従来からの主要関係者にとどまらず広く吸収していく検討も進めるべき」という趣旨の提言をしている。
今年2月には自民党の有志議員による勉強会グループが見直しを塩崎厚労相に提言。6月の閣議後会見では「時代に合った委員構成の見直し」に言及して注目されていた。労使の立場に固執した度重なる「衝突」で、政策の遅延を指摘する意見も散見される一方、官邸や内閣府などの「会議体」で決まった方針や方向性が、厚労省の労政審に“降りてくる構図”に強い懸念と反発もあった。いずれにしても、長年の慣例を打ち破る「新たな仕組み構築」は容易ではない。
「機動的な政策決定が必要」、塩崎厚労相の発言詳細
会議設置の核心はどこにあるのか。塩崎厚労相は...
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