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2016年2月 8日

第190通常国会、厚生労働関係の政府提出法案

新規提出予定7本、継続法案3本の概要と行方

is160208.jpg 1月4日に召集された第190通常国会で、政府は2015年度の補正予算を成立させ、2月から新年度予算の本格審議が始まった。今国会の政府提出法案は全体でこれまでで最も少ない55本で、このうち、厚生労働関係は新規で7本、前国会から継続審議となっている3本についても成立や審議入りを目指している。法案の提出時期や概要、審議の見通しなどを取材し、整理した。(報道局)

政府、夏の参院選を念頭に、臨時国会を含む“通年国会”で対応模索

 今年は、5月下旬に8年ぶりの日本開催となる主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)や、7月の投開票が見込まれる参院選(半数改選)が控えており、予算案以外の政府提出法案の審議・成立は労働法制のみならず限定的となる見通し。厚生労働省関係は窮屈な日程感を見越して、参院選後の臨時国会を含む「年間を見通した期間での各種法案の成立」を考えている模様だ。

 提出の日程順に新規法案と継続法案を下記にまとめた。(※は予算関連)

○新規提出予定法案
※(1)雇用保険法等の一部を改正する法律案(6法案セット)
※(2)戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案
※(3)児童扶養手当法の一部を改正する法律案
※(4)特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案
  (5)児童福祉法等の一部を改正する法律案
  (6)公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案(仮称)
  (7)障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案

○前国会で衆議院において継続審査となっている法案(1本)
  (1)労働基準法等の一部を改正する法律案

○前国会で衆院を通過し、参院において継続審査となっている法案(2本)
  (1)社会福祉法等の一部を改正する法律案
  (2)確定拠出年金法等の一部を改正する法律案

注:上記法案は厚生労働委員会関係であり、衆院法務委員会で審議入りして継続審議となっている外国人の技能実習制度を抜本的に見直す「外国人技能実習適正実施法案」は、本稿の厚労分野の法案本数に含めていない。【関連記事】参照。

新規7本に関する法案の概要と状況

(1)雇用保険法等の一部を改正する法律案(6法案セット)
 1月29日に提出済み。上程された雇用保険法改正案には、関連する法整備として、育児・介護休業法(育介法)改正案をはじめ、高年齢者雇用安定法、男女雇用機会均等法、労働者派遣法、労働保険徴収法の改正案が盛り込まれている。予算措置の部分は4月1日施行、その他の大半は来年1月1日施行を目指している。

 育介法改正案では、(1)多様な家族形態・雇用形態に対応するため、育児休業の対象となる子の範囲の拡大や育児休業の申し出ができる有期契約労働者の要件の緩和などを実施。(2)介護離職の防止に向け、介護休業の分割取得(3回まで、計93日)や所定外労働の免除制度の創設などを行う。法案審議は、予算案件として2月から開始され、3月末までには成立する見通しだ。

(2)戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案
 1月29日に提出済み。戦傷病者等の妻に対する特別給付金の継続支給が柱となる。

(3)児童扶養手当法の一部を改正する法律案
 2月上旬に提出予定。児童扶養手当の第2子加算額(現行の5000円を1万円へ)、第3子以降の加算額(現行の3000円を6000円へ)引き上げを目的とする。

(4)特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案
 2月上旬に提出予定。特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の請求期限を5年間延長。また、死亡または発症後提訴までに20年を経過した「死亡・肝がん・肝硬変」の患者に対する給付金を新設する。

(5)児童福祉法等の一部を改正する法律案
 3月上旬に提出予定。ポイントは4点。①児童は、適切な養育を受け、健やかな成長・発達や自立などを保障されることなどの理念を明確化、②妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援を提供する子育て世代包括支援センター(仮称)を法定化、③児童相談所の体制や専門性を強化するため、児童福祉司、児童心理司、保健師等の配置を充実、④施設入所等措置の解除時に第三者による助言や、関係機関による安全確認を実施――を目指す。

(6)公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案(仮称)
 
3月上旬に提出予定。こちらの要点は5点。①短時間労働者への被用者保険の適用拡大、②国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料免除、③年金額の改定ルールの見直し、④年金積立金管理運用独立行政法人のガバナンス体制の強化、⑤日本年金機構の不要財産に関する国庫納付規定の創設――となっている。いずれの法案もタイミングや勢い、世論の風に影響を受ける傾向にある中、この法案はそうした観点から見ると今国会の審議入りは容易でない。

(7)障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案
 3月上旬に提出予定。低所得の高齢障害者について、介護保険サービスを利用する際の負担を軽減(高額障害福祉サービス等給付費の見直し)と、新たなサービス類型を追加(自立生活援助の創設等)する。

 

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