日本人材派遣協会が11月12日に発表した2015年第3四半期(7~9月)の派遣事業統計調査(501事業所)によると、派遣社員の実稼働者数は平均30万143人(前年同期比1.1%増)となり、今期に入って30万人を前後し、「横ばい状態」となっている。08年の年間平均約43万人には遠く及ばないものの、20万人台後半で低迷していた流れはこの数年で回復基調にあり、景気の上昇による人手不足が正社員、パートなどの需要と同様に派遣社員にも反映している模様だ。第3四半期の全体像と地域別、業務別などのポイントを整理する。(報道局)
この数年の動きを踏まえて現状を分析すると、13年第2四半期(4~6月)の平均27万人台を底に緩やかに回復しはじめ、14年から15年第1四半期にかけて前年同期比4~5%程度の伸びを示していた。ここに来て、後退はしていないものの、1~2%台と鈍化している=グラフ。
「南関東」と「北関東・甲信」、「九州」は好調
今回の第3四半期統計を中心に、地域別の特徴を見てみる。まず、前提として同協会は地域を「北海道」、「東北」、「南関東」、「北関東・甲信」、「北陸」、「東海」、「近畿」、「中国」、「四国」、「九州」――の10ブロックに分けている。「南関東」は埼玉、千葉、神奈川、東京の4都県。沖縄は「九州」に含まれている。
まず、「北海道」は6163人(同1.4%増)で、14年の第1四半期(1~3月)から7四半期連続で前年同期を上回っている。「東北」は9810人(同1.6%増)で、4四半期連続で増加している状況だ。
最も人数が多い「南関東」(16万8651人、同1.9%増)と「北関東・甲信」(1万4793人、同4.2%増)は、景気回復を背景に活発な動きとなっている。具体的には、「南関東」が13年第3四半期(7~9月)から9四半期連続で増加。「北関東・甲信」は、全地域の平均の伸び率を上回る状況が続いている。
「北陸」(3602人、同0.4%増)もこの2年間にわたり、堅調に回復。「東海」は、今年に入って実稼働者数が減少を続け、今回の第3四半期統計では2万4331人(同0.7%減)と前年同期を下回った。「近畿」は回復基調に歯止めがかかり、4万3865人(同1.9%減)と前年同期割れとなった。「中国」(8957人、同3.8%減)と「四国」(4646人、同1.3%減)も2四半期連続で前年同期に届かなかった。
一方、「九州」(1万5324人、同4.6%増)は「南関東」と同様に、13年第3四半期(7~9月)から増加が続いている。
「営業」が2ケタ増など全体的に復調、「貿易」のみ減少
業務別の状況はどのような傾向にあるだろうか。調査では、業務を旧政令26業務の「情報処理システム開発」、「機器操作」、「財務」、「貿易」、「その他」、旧自由化業務の「一般事務」、「営業」、「販売」、「製造」、「軽作業」――の10業務に分けている。
このうち、実稼働者数が多い「機器操作」は7万8025人で同1.0%増。「一般事務」が7万4542人で同6.6%増となった。伸び率では「営業」が5397人で同10.8%増と2ケタの伸び。10業務のうち、「貿易」だけが5113人(同4.7%減)と減少した。
紹介予定派遣の成約件数は増加
紹介予定派遣は7456人(同2.1%減)で、12年第4四半期(10~12月)以降、初めてマイナスとなった。成約件数は3402件(同3.2%増)と増加した。
ここ数年の傾向として、第4四半期(10~12月)が年間で最も高い成約件数になっていることから、次回の統計が注視される。