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2015年8月31日

企業が悩む?「行動計画」の策定

来年4月スタート、女性活躍推進法の課題

 安倍政権の目玉政策の一つである「女性の活躍」の裏付けとなる女性活躍推進法が28日、参議院で可決、成立した。政府が昨年秋の臨時国会に提出したものの、衆院解散で廃案となり、今年の通常国会に再提出してようやく日の目を見た。法律の正式名は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」であり、企業などにおける女性の活躍を促進する趣旨から、規制色は極力薄めて、企業自身による自主的取り組みを促す内容となっているが、果たして女性の活躍を後押しする制度になるかどうか未知数の部分も多い。(報道局)

 法律の対象は従業員301人以上の企業(300人以下は努力義務)、政府、自治体で、施行は来年4月から。対象企業などは施行までに、以下の3点を実施しなければならない。中心となる「行動計画」には、企業が任意で数値目標を盛り込むが、目標達成については努力義務とした。政府は優良企業の「認定制度」を設け、受注機会の優遇策などを講じる。 

(1) 自社の女性の活躍状況の把握と課題分析
(必須項目として女性の採用比率、勤続年数の男女差、労働時間の状況、女性管理職比率。任意項目として非正規から正規への転換状況など)
(2) それを踏まえた行動計画の策定、労働局への届け出
(定量的目標、取り組み内容、実施時期、計画期間などを策定、公表)
(3) ホームページなどでの情報公開
(項目の内容は省令で規定)

 
 行動計画に関する具体的項目の指針、望ましい課題分析手法、外部への公表方法などは省令・指針で示すが、厚生労働省は9月3日から労働政策審議会の雇用均等分科会で検討を始め、10月中には公表したい意向だ。同時に、取り組み企業のデータベースを構築し、専用サイトで公表する。

企業間の取り組みに大きなバラつき

 法制化に対して、取り組み主体となる企業の対応にはかなりのバラつきがある。資生堂、サントリー、パソナなど、従来から女性登用を積極的に進めている企業は余裕だが、土木、建設、機械など女性社員自体が少なく、女性の登用機会の少ない企業にとってはかなりハードルが高い。また、女性の管理職比率を無理に上げようとしても、女性の適材がいない、男性社員の理解が得られない、研修・訓練の機会が乏しいといった企業も少なくなく、どこまで実効性が担保されるか、法制効果は未知数だ。

 国際比較では、日本の女性の管理職比率は低い。労働政策研究・研修機構の調査によると、2012年時点の管理職に占める女性の比率はフィリピンの47.6%、米国の43.7%を筆頭に4~2割の国が続いているが、日本は11.2%(13年)で韓国の11.0%と“最下位争い”をしている状態だ=グラフ

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 最大の問題は、男性正社員を中心にした長時間労働の労働慣行が主流となっている企業がまだ多く、当の女性自身の在職年数が短く、在職していても管理職を希望しない傾向にあること。女性は仕事以外にも出産・育児、介護など、ライフサイクルが多様で、男性に比べると昇進面などで圧倒的に不利な立場にある。長時間労働と、それに実質的にリンクした企業の評価制度を改め、家事分担など法制度以外の男女の“役割分担”も是正しない限り、同法の存在意義はかなり限定される。

 厚労省は「政府が女性の活躍を法制面から支援することで、企業の取り組みは大きく進むはず。絵に描いた餅に終わらせないためには、男性も巻き込んだ社会全体の意識改革が必要になる」(雇用均等・児童家庭局幹部)と話している。

 

【厚労省の女性活躍推進法特集ページ】
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html


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