外国人技能実習制度を抜本的に見直す新法が、予算関連法案として今国会に提出される。認可法人の技能実習機構(仮称)を新たに創設し、「管理監督体制の強化」と「制度拡充」という両面を進めるのが法案の柱。一昨年の秋口に官邸発で動き出した同制度の見直し論議は、その後、法務省と厚生労働省を中心に進められ、近く両省が法案を共同提出する見通しだ。1993年の制定以降、入国管理法や労働関係法令の違反が絶えず、国内外から人権上の批判も挙がっていた同制度。見直しの経緯と背景、新法の要点と留意点を取材した。(報道局長兼労政ジャーナリスト・大野博司)
法案提出までの経過と「官邸、法務省、厚労省」の3者の立ち位置
外国人技能実習制度は、日本の技能や技術、知識を開発途上国へ移転し、経済発展を担う「人づくり」という国際貢献が本来の目的だ。法務省によると、同制度による国内在留外国人は2013年末で約15万5000人。国別では中国が69.1%と圧倒的に多く、ベトナム13.9%、フィリピンとインドネシアが6.5%ずつとなっている。20年余り続く制度だが、これまで幾度も手直しが図られてきた。
政府の規制改革会議(岡素之議長)は13年10月、創業・IT(情報技術)分野の作業部会で、途上国の労働者を最長3年間受け入れる外国人技能実習制度の受け入れ期間を5年程度に延ばすことで大筋一致。その際、一部に実習制度が賃金不払いなど不正の温床になっているとの指摘が出たものの、「優良事業者に限って延長を認めることなどの方策で不正を防止できる」との意見によって概ね方向性が確認された。
その後、官邸に設置された「農林水産業・地域の活力創造本部」の答申にも5年延長が盛り込まれたのに続いて、法相の私的懇談会「第6次出入国管理政策懇談会・外国人受け入れ制度検討分科会」が見直しの方針をまとめた。これを受ける形で昨年6月の「日本再興戦略改訂2014」に、実習制度管理監督のあり方の見直しに加え、15年中の新制度への移行や実習期間の延長、受け入れ枠の拡大などが明記された。
このような官邸発で敷かれた流れを踏まえ…
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