派遣期間制限など巡り、再び議論 次回に「公益」案提示へ 2013年12月4日
前回に引き続き、事務局が提出している両論併記的な「たたき台」(複数案)を巡って議論を展開した。主要論点で労使の「歩み寄り」はまったく見られず、かみ合わない状況だが、閣議決定に記されている「年内建議(答申)」を念頭に置く事務局の厚生労働省は、公益委員と詰めた「再改正の全体案」を次回の12日に示す見通し。再改正の起点となっている「分かりやすい派遣法」に向けてどこまで具現化できるか、大詰めの段階に入った。
派遣期間制限などに強い不信と反発 「公益委員案」巡り労働者側 12月12日
これまで労使が交わしてきた議論を踏まえた「公益委員案」を提示した。これを巡って労使が「最後の注文」を付ける形で審議が進んだが、最後は“時間切れ”となった。
公益委員案では3年を上限にした期間制限の例外として、無期雇用の派遣労働者、60歳以上の高齢者、有期プロジェクト業務などの派遣労働者を挙げた。
労働者側委員が最も強い反発を示したのは、無期雇用の派遣労働者についてで、「法制的には保護されたとしても、かつての“派遣切り”のようなことが起きる懸念がある。無期雇用といっても、直接雇用と間接雇用では違うのではないか」と疑問を呈した。
一方、使用者側委員は基本的に同案を支持しながらも、同案の中で「派遣労働が雇用と使用が分離した形態であることによる弊害を防止する」と記している部分に対して、「もっときちんと派遣(制度)を評価すべきだ」と厳しく指摘。
年明けに「報告書案」提示へ 公開審議は8分で終了 12月25日
12日に「公益委員案」が示されて以降、非公開の場で厚労省や公益委員を挟んだ労使の意見聴取や調整が精力的に展開されてきたが、“帰着”は年明けに持ち越された。
この日の公開審議はわずか8分で終了、次回は「公益案」に肉付けされた厚労省による「報告書案」が提示される。
鎌田部会長「論点は収れん」、月内建議へ厚労省 派遣法「再改正」の報告書案で事実上の最終議論 2014年1月17日
労働者派遣法の再改正について12回目となる会合を開き、厚生労働省が取りまとめた報告書案について議論した。昨年示された公益委員案を踏まえた内容に労働者側委員から異論が相次ぎ、この日は合意に至らなかったが、労使ともに最終局面を念頭に入れた総括的な主張を展開。鎌田部会長は「主要部分では労使の歩み寄りがあり、これまでの議論の中で論点は収れんされてきた」と強調した。
報告書案では冒頭、「労働者派遣事業が労働力の需給調整において重要な役割を果たしていることを評価する」と明記したうえで、派遣制度の簡素化、派遣労働者のキャリアアップ措置などと同時に、正社員の常用代替防止も盛り込み、派遣労働を「臨時的・一時的な働き方」と位置づけた。
そのうえで、(1)政令26業務と自由化業務などの業務区分の廃止、(2)派遣労働者の就労期間の上限を3年に限定、(3)派遣先の受け入れ期間の上限を3年に限定、(4)特定派遣事業を一般派遣事業と同様に、届け出制から許可制に一本化――などを主要な変更点にした。
ただし、(2)の場合、派遣会社は3年超の派遣労働者に対して、派遣先への直接雇用の依頼、新たな派遣先の提供、派遣元での無期雇用化などの雇用安定措置を講じることとし、無期雇用の場合は上限を適用しないとした。また、(3)では派遣先企業は労働組合などの意見を聞いたうえで、同一業務の3年間の派遣継続を可能にすることとした。
「報告書」を建議、今国会法案提出へ 1月29日
労働政策審議会労働力需給制度部会は、17日に提示した厚労省案から「特定目的行為である事前面接の解禁」の部分を削除するなどした内容で決着。上部審の職業安定分科会でも部会の建議を了として報告書を建議(答申)した。
厚労相、派遣法改正の「法律案要綱」を諮問 労働者側が建議の内容との整合性など指摘、労政審 2月21日
同部会が1月29日に取りまとめた労働者派遣法の改正建議に基づき、事務局の厚生労働省が作成した改正案要綱を審議した。法律案要綱は厚労相が審議会に諮問した格好。この日は、建議と要綱の内容の整合性を巡り、主に労働者側委員から指摘や要望が相次ぎ、要綱の答申は次回に持ち越された。
労働者側からはまず、建議では派遣労働を「臨時的・一時的な働き方」と規定したにもかかわらず、要綱に盛り込まれていないとの指摘があり、厚労省は本法に盛り込む文言でないことを説明したうえで、「運用規則に盛り込む予定」との回答があった。
この日は、建議の内容が法律としてどこまで明文化されるのか、法律と省令の「棲み分け」などについて、厚労省と労働者側との考えの違いが目立ち、結論は次回に持ち越された。
労政審部会、派遣法改正案要綱を了承 28日正式答申へ、労働者側は建議との整合性を強く指摘 2月27日
厚労相から21日に諮問されていた労働者派遣法の改正案要綱を「概ね妥当」と了承、28日夕に上部審の職業安定分科会で労政審の答申として正式決定する運びとなった。
この日は、前回の21日に労働者側委員から出た疑義などに、もっぱら厚労省側が答える形で進行。とりわけ労働者側からは、建議の中で派遣労働を「臨時的・一時的就労」と明記したにもかかわらず、要綱には盛り込まれていない点について「違和感がある」として要綱に入れることを繰り返し主張した。
結局、労働者側の意見については、28日の職業安定分科会で鎌田部会長が「要望」の内容を補足説明することで決着した。 (おわり)