米国事情と二つの派遣労組からヒアリング 2012年12月18日
派遣労働組合や派遣先企業の代表らを招いて、ヒアリングを実施した。2つの労組が派遣労働者の実態と意見を述べたが、派遣制度については対照的な主張になった。前回に続き、派遣先へのヒアリングは非公開で行われた。
この日は、労働政策研究・研修機構の池添弘邦主任研究員が、米国の派遣制度について解説。米国ではEU(欧州連合)主要国や日本のような派遣制度だけを規制する法律は連邦法、州制定法ともになく、職業安全衛生法、差別禁止法などを適用していること。基本的に労働力調整のバッファーとしての活用であり、景気変動の影響を大きく受けるが、長期的には市場が拡大しているとして、日本との労働法制の大きな違いを説明した。
労組では、派遣ユニオンと人材サービスゼネラルユニオン(JSGU)らが招かれた。派遣ユニオンは7月に実施した「第25回派遣トラブルホットライン」、JSGUは11月後半に実施した「派遣労働者の声と実態」調査を基に、それぞれの結果と意見を述べた。
派遣協と技能協などからヒアリング 12月19日
前日に続いて会合を開いた。この日は事業者団体と派遣会社からのヒアリングを行い、公開となった事業者団体のヒアリングには日本人材派遣協会と日本生産技能労務協会の2団体が招かれた。個別企業となる派遣会社の聞き取りはこれまで通り非公開。
派遣協と技能協は、それぞれ用意した資料を基に今後の派遣制度に対する基本的な考え方や現行法の問題点などを現場の具体例を提示しながら主張した。
両団体ともに、登録型派遣と製造業務派遣の必要性、2015年10月施行予定のいわゆる「みなし雇用規定」の撤廃などを主張。そのうえで、派遣協は、(1)派遣労働者のキャリア形成支援と正社員を希望する人たちの転換支援、(2)同一派遣労働者の派遣期間上限を3年に統一、(3)政令26業務の撤廃と業務に制約のある現状の改善――などを要望した。
キャリア評価のシステムなどで提言 2013年1月22日
派遣制度の本格的な見直し論議に入った。この日は、「労働市場における派遣労働者の位置付けについて」と「派遣労働者のキャリアアップ措置について」の2点について議論した。
前者は、派遣が他の雇用形態に比べてどんな特徴があり、位置づけの課題は何か。派遣労働は有期・無期雇用の区別ではなく、間接雇用という理由で非正規労働として扱われることが多かったが、それについてどう考えるか。派遣法の本来の目的だった「常用代替の防止」についてなど。
後者は、派遣労働者のキャリアアップが重要な理由、キャリアアップに派遣元・派遣先が求められる役割、キャリアパスの方法など。
しかし、「労働市場における派遣労働者の位置付け」については、多様な側面があるだけに議論は拡散気味で、この日は出席委員の“意見陳述”に終始した。
登録型派遣、製造業派遣、特定派遣事業、期間制限など本格議論 2月12日
中核的なテーマである登録型派遣、製造業派遣、特定派遣事業と派遣可能期間の制限について、それぞれのあり方を議論した。
この日、事務局である厚労省が委員に提示した検討項目を要約すると、登録型派遣では、雇用が不安定である一方、労働者・企業の双方にニーズがあり、臨時的・一時的な需給調整機能として有効という指摘について。また、登録型では能力開発の機会が得にくい、就業経験が評価されないといった指摘に対して、派遣元の果たすべき役割について。
製造業派遣については、いわゆる「派遣切り」に加えて技能継承の観点からも問題という一方で、禁止すれば企業の海外移転などを招きかねないとの指摘について。また、特定派遣は、2008年の研究会報告で常用型派遣を「期間の定めのないもの」と再整理すべきだとしたが、現状をどう考えるか。また、一般派遣と同様に許可の対象とすべきかどうかについて。
さらに、期間制限については、業務による期間制限は撤廃し、同一労働者の同一派遣先での期間制限を設けるべきだとの指摘について。これらを事務局の厚労省が議論のテーマとして提示した。 (つづく)