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2012年6月 4日

人材ビジネスの主要団体が5月下旬に相次ぎ定時総会

組織若返り、新たなビジョン公表などが特徴  

 人材ビジネスの主要団体の定時総会が5月下旬に相次いで開かれ、各団体とも新年度の事業計画や人事を決定、発表した。7月には関連4団体による「人材サービス産業協議会」(仮称)の設立が予定されているが、主な狙いである発信力強化と社会的認知度向上などの土台が築けるかどうか、2012年度は各協会にとって節目の年になりそうだ。(報道局)

i120604.jpg 製造派遣・請負事業の業界団体である日本生産技能労務協会(JSLA、清水竜一会長)は16日、「JSLA将来ビジョン~日本のものづくりの発展に貢献する」を発表した=写真=。同ビジョンは、業界のあるべき姿として、事業者の健全で成長可能な運営や、就業者の技能習熟と知識向上など4つのビジョンを掲げ、20年までにあるべき姿に到達するとの目標を掲げている。

 全国民営職業紹介事業協会(民紹協、荒川春会長)は25日、各種研修会や講習会の実施、「しごと情報ネット」援助事業、11年度決算、12年度予算などを承認。席上、行われた表彰式では厚生労働大臣表彰7人、職業安定局長表彰35人、民紹協会長表彰40人に表彰状が贈られた。

 ホワイトカラーを中心とした民間職業紹介事業の業界団体である日本人材紹介事業協会(人材協、佐々木和行会長)は28日、社会的ニーズに応えるために、労働力需給調整機能の中心的役割を果たしていくことなどを確認した。任期満了に伴う役員改選では、佐々木会長と齋藤衛副会長(アネックスリサーチ社長)の続投を決めたほか、新任副会長に水谷智之氏(リクルートエージェント社長)を選出した。このほか、新任理事6人を選出して若返りを図った。

 12年度の活動方針として、①新規求人に対応し、マッチング精度を高めて企業の必要人材の確保に努める②人材不足の環境、医療、介護、福祉分野を得意とする紹介事業者を育成し、労働力流動化を促進する――などを挙げた。

 日本人材派遣協会(派遣協)は29日、重点項目事業として①労働者派遣法改正の周知と付帯決議の早期実施の働きかけ②派遣労働者のキャリア形成に関する調査研究と必要事業の実施③東日本大震災の被災地における就業機会の創出④「一般社団法人」への移行を機にした協会運営の一層の適正化・健全化――の4つを決めた。

 役員改選では、坂本仁司会長が退任し、後任に家中隆氏(東京海上日動キャリアサービス社長)が就任。副会長に前理事長の長嶋由紀子・リクルートスタッフィング社長と高橋広敏・インテリジェンス社長が選出された。家中新会長は「改正派遣法の施行に伴う政省令などの細目、派遣制度の根本論議、派遣スタッフのキャリア形成など、協会の課題は目白押しだが、一つひとつ着実に取り組んでいきたい」と力を込めた。

7月「人材サービス産業協議会」設立へ

 人材協と派遣協の懇親会では田畑一雄・厚生労働省需給調整事業課長があいさつし、改正労働者派遣法の10月施行に向けた労働政策審議会の政省令審議が始まったことを受けて、「10月1日施行をめざして鋭意準備を進めており、みなさまのご協力をお願いしたい。それが済んだら、派遣制度のあり方について検討に入りたい」などと述べ、今後の計画と業界への協力を要請した。

 JSLAは昨年、派遣協は今年の総会で、それぞれトップを含む大幅な役員改選を実施。若返りを図ったのが特徴で、人材ビジネス業界が新たな段階に入ったことを示唆している。7月には派遣協、JSLA、人材協、そして全国求人情報協会(丹澤直紀理事長)の4団体による横断連携組織「人材サービス産業協議会」(仮称)の立ち上げが予定されており、各協会ごとの使命達成と、これまで具現化できなかった「人材サービス業界のまとまった動きと発信」が一段と加速しそうだ。4団体はさらに他の協会の参画も視野に入れている。
 

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