日本企業への新卒就職を目指すベトナムの高度理系学生を支援する「日越就業能力開発プログラム」(ダン・ダン・トゥン センター長)は16日、大阪市内で「第三回アジア高度技術人材の活用セミナー」を開いた=写真。同プログラムのセンター長を務めるベトナム国家大学ホーチミン市校工科大学のトゥン准教授の基調講演をはじめ、日本で活躍する同プログラムの卒業生とその採用企業の代表らが登壇して参加した企業採用担当者たちの質疑応答を交えながら「ベトナム理系新卒の人材活用」の展望を探った。
東京と大阪の2会場で開催される同セミナーは、今年で3回目を迎える。2015年8月、ホーチミン工科大と大阪市に本社を置くジャパンクリエイト、同社の現地法人であるタンスイベトナムの3者が調印を交わして誕生。ベトナムの理系トップ校で特別な日本語教育などを受けた技術新卒を日本企業に紹介する仕組み。3者が一体となって共同運営し、これまでにカリキュラムの充実やプログラムの受講学年の拡大などを積極的に実施。既にプログラムの卒業生を高度技術者として日本企業に輩出している。
第一部では、トゥン氏が「憧れの技術大国日本へ~若き新卒エンジニアたちの活用について」と題して基調講演。1996年に国費留学生として来日し、2002年に長岡科学技術大を卒業、07年に同大学院博士課程を修了しているトゥン氏は、ホーチミン工科大の特徴や同プログラムの立ち上げの経緯と背景、狙いを説明。「企業側のニーズ、学生の希望なども調査したうえでプログラムに磨きをかけているため、大学と日本の人材会社であるジャパンクリエイト、現地法人のタンスイベトナムの3者連携で良質なカリキュラムを実践できている」と学生の資質に自信をみせ、さらに付加価値をさらに高めていく考えを披露した。
第二部では、同プログラムについて理解を深めるため、戸﨑産業(兵庫県高砂市)の戸﨑寿人社長と、同社に今年3月に採用され活躍中の女性社員らが登壇。戸崎社長は「エンジニア職のレベルアップを図る目的でプログラム卒の採用に踏み切ったが、仕事に対する意識が強く、他の社員に良い刺激となっている。これからの幹部候補を考えた時に、日本人とベトナム人の垣根はない」と述べた。女性社員は「日本の会社で働きたいという気持ちが強くあった。プログラムではレベルの高い日本語教育はもちろん、日本のビジネスマナー、生活のマナーなども教わっているので戸惑いはない」などと話した。
第三部では、運営事務局が「人材マッチングまでの流れ・学生のノンネームリスト」と題して、運営状況や初年度の実績、今後の展開などに関する具体的な説明があり、来場者が高い関心を示していた。
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