Q 今年の育児・介護休業法の改正のうち、「育児休業取得状況の公表義務適用拡大」とは、どのような内容でしょうか。
A 育児・介護休業法では、育児休業取得状況の公表義務が規定され、一定規模以上の企業について、男性労働者の育児休業等の取得状況を年に1回公表することが課せられています。従来は常時雇用する労働者が1000人を超える企業に義務付けられていたものが、4月1日からの改正によって、常時雇用する労働者が300人を超える企業に課せられることになりました。「常時雇用する労働者」とは、期間の定めなく雇用されている労働者のことをいい、正社員のほか、一定の期間を定めて雇用されているものの、雇用期間が反復更新されているなどして過去1年以上引き続き雇用されている人、雇い入れ時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる人も含まれます。
公表が必要な育児休業取得状況とは、①男性の育児休業等の取得率、②男性の育児休業等と育児目的休暇の取得率のいずれかであり、具体的な内容は以下のとおりです。
①男性の育児休業等の取得率
「育児休業等をした男性労働者の数」 ÷ 「配偶者が出産した男性労働者の数」
=「男性の育児休業等の取得率」
②男性の育児休業等と育児目的休暇の取得率
「育児休業等をした男性労働者の数」と「小学校就学前の子の育児を目的とした休暇制度を利用した男性労働者の数」の合計 ÷ 「配偶者が出産した男性労働者の数」 = 「男性の育児休業等と育児目的休暇の取得割合」
育児休業取得状況の公表は、年に1回、直前の事業年度の状況について、年度終了後おおむね3か月以内に実施する必要があり、自社のホームページなどで公表するケースが多いです。厚生労働省は方法のひとつとして、厚労省運営のサイト「両立支援のひろば」での公表を勧めていますが、このサイトに登録することで、自社の育児休業取得状況を公表することができるだけでなく、12万社以上の企業が登録されている実施状況を閲覧したり、具体的なQ&A集、両立支援に取り組む企業の事例、自社の取り組み状況の診断などにも触れることができるため、ぜひ効果的に活用したいものです。
(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)