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2025年2月25日

【ブック&コラム】『ブラック企業戦記』

驚き、あきれる、ブラック企業の実態

c2502_1.jpg著者・ブラック企業被害対策弁護団
KADOKAWA、定価1166円(税込)


 日々ブラック企業を相手にしている複数の弁護士たちによる39の事例報告(同一事例の後日談含む)。いずれも相談案件の概要と法的対応(交渉・労働審判・裁判)の過程・決着に至るまでのストーリーが簡潔に記述されているので、一気に読める。

 「36協定って何ですか?」「私は社長ですよ、解雇を言い渡して何が問題なんですか?」「殴るのも愛情表現です」と逆切れする悪徳・ワンマンを絵に描いたような経営者たちが続々登場する。所定労働8時間・週休2日の会社で業務日誌に「人の3倍働け」「週120時間働け」と激励コメントを記す社長もいて、対応した弁護士は「1日24時間働く計算になる」とあきれる。「ウチは36協定を結んでいるので残業代は払わない」という珍解釈あり、人柄は温厚なのに無知ゆえに違法状態に気づきもしない社長あり、不謹慎ながらコメディー映画の台本のような読み方ができてしまう。

 人事部門の機能している会社ではありえない話ばかりだが、今の日本で現実に起きている事例であることに改めて驚かされる。

(久島豊樹/HRM Magazine より)

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