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2024年12月 3日

【ブック&コラム】『ホワイトカラー消滅』

AI・DXの活用による日本再生を提案

c2411_2.jpg著者・冨山 和彦
NHK出版、定価1133円(税込)


 明治維新の際、人口の10%を占めていた士族が消滅し、新しい産業の担い手に置き換わったように、今はホワイトカラーが歴史的大転換に直面していると著者はマクロを捉える。我が国が「失われた30年」から脱却するには、分母の省人化と分子の単価引き上げしかなく、カギはAI活用とDXによる経営の高度化だと論じ、その過程で存在意義を失うのが「漫然とホワイトカラー」「なんちゃって管理職」たちだとはじき出す。

 ただし、それは失業者の増加を意味せず、エッセンシャルワーカーとして質・量ともに社会の主役になっていくと予測。働き方は、365日がんばるスタイルではなく、AIやDXの活用によって、高付加価値の成立する時間帯だけ集中するような経営の高度化が伴っての話だと先行事例を挙げて説明する。同時に、勤労者個人には,アンラーニングとリスキリングが必須とされるが、その本質はリベラルアーツによる土台の構築だと説く。

 今は低生産性の状態ゆえ、伸びしろは大きいと見て、悲観論ではない「日本再生への20の提言」を力説している。

(久島豊樹/HRM Magazine より)

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