ビンボーを拒んで働き続ける
著者・梅森 浩一
光文社、定価990円(税込)
著者はあのクビキラー氏。65歳で定年退職してみたものの、長く最上位等級の社会保険料を負担してきたのに、年金の手取り額は生活保護水準に過ぎなかったと怒る。アリではなくキリギリスだと自負するご本人は、身の丈(=年金額)に合ったビンボー生活に慣れましょうと諭す多くの定年準備論に対して「決して受け入れられない」と拒み、ゆえに働き続ける覚悟を本書に開陳している。
外資系金融機関で人事の仕事を担ってきた経験から「ジョブ型」の雇用・就労事情を日本企業で働く現役サラリーパーソンに向けて解説。定年まで時間のある若い人には、自分の経済的立ち位置を知り、先手を打ち、賢く定年に備える状態を目指そうと誘う。
外資系本社には「年齢差別はない」と確認したものの、実際に働く日本の職場には「定年という風習がある」現実を語り、50歳から65歳までに8回、65歳以後に3回の転職(転社)を重ねてきた"闘いぶり"を明かす。日本の年金制度への怨嗟にも似た等身大の心情を吐露する記述は面白くかつショッキングでもある。
(久島豊樹/HRM Magazine より)