「ポジティブな体験」を提供する上司の役割
著者・加藤守和/土橋隼人
日本能率協会マネジメントセンター、定価2750円(税込)
画一的な処遇では従業員一人ひとりの価値を最大化できないという課題感からEX(従業員エクスペリエンス)が注目されていると本書は説明する。組織の歯車ではなく、個性・感情が認められている実感を持てれば従業員エンゲージメントは高まり、業績向上へのインパクトも大きいとEX向上に取り組む経営側のメリットも明かしている。
本書に貫かれているのは「ポジティブな体験」というキーワードだ。逆説的に捉えると、イヤな体験が積み上がった「不機嫌な職場」の対極の姿だと合点がいく。EX向上を成功させる4つの要素(透明性・即時性・個別性・合理性)を整理したうえで、6つの領域(①リクルーティング/オンボーディング、②キャリア・スキルディベロップメント、③リワード/コグニション、④ネットワーキング、⑤ワークスタイル/ワークプレイス、⑥ウェルビーイング)に切り分けてポイントを詳述。さらに章を改め、この6つの領域で発揮すべき上司の役割に踏み込んでいく。
EXの概念から上司のセリフまで、具体的に理解が進む。
(久島豊樹/HRM Magazine より)