入社から退職までを"旅"で捉える
著者・上林 周平/松林 博文
英治出版、定価1980円(税込)
HR分野で関心度の高まる「EX:エンプロイーエクスペリエンス=従業員体験」につき、"何がどう機能する状態"が望ましいのか、著者らは改めて深層から説き起こしていく。
まず、働きやすさとエンゲージメントの関係を捉え直し、福利厚生の拡充や社内イベントで組織を盛り上げるようなやり方では、かえって従業員体験を貧弱にしかねないとリスクを指摘する。続けて、熱意ある社員が集まり、働きがいを生み出すような従業員体験の設計要素を「期待値」「個別化」「時間軸」の3つの視点で整理。入社から退職までを"組織で働く旅"と仮定し、一人ひとりの価値観・資質・状況に合わせ、時機に適合した体験の設計をガイドしていく。とりわけ、行動・思考・感情を人事イベントのアクション単位で可視化する「エンプロイージャーニーマップ」は、具体的な人事施策を導き出すツールとして注目したい。
エンゲージメント・ウェルビーイング・人的資本といったバズワードの真意を理解し、経営人事に組み入れ、うまく機能させていく手がかりが見えてくる1冊だ。
(久島豊樹/HRM Magazine より)