Z世代の思考回路を知る手がかり
著者・廣瀨 涼
金融財政事情研究会、定価1870円(税込)
イマドキの若手の特徴につき、改めて「XYZ」の定義から説き起こしていく世代論だ。
「ゆとり」と「絶対評価」の教育システムで育ち、競争より共闘・協力の価値観を重視するZ世代には、経済の衰退しか知らず、東日本大震災を経験し、コロナ禍を生き抜いてきた事情があると著者は読み解く。また、SDGsへの関心が高く「社会のウェルビーイングへ貢献したい」と願う心理に着目して、消費行動や思考特性への影響を考察している。Z世代は激しい社会変化(VUCA)を身近に見てきたゆえに画一的なキャリアレールを信じず、多様性を当たり前に受け入れているという。従って、べき論の押しつけはハラスメントになりかねないとマネジメントリスクも指摘する。
コロナ禍での社会行動、ワークライフバランス、労働コンプライアンス、コストパフォーマンス等を重視する世代の心情が理解できると、書名の「歓迎会に参加しない」理由も分かってくる。「有意義な話なら酒の席ではなく仕事中にご教示いただきたい」と返されては確かにぐうの音も出ない。
(久島豊樹/HRM Magazine より)