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2024年7月30日

【ブック&コラム】『職場を腐らせる人たち』

モンスターに巻き込まれないために

c2407_2.jpg著者・片田 珠美
講談社、定価990円(税込)


 精神科医の立場から企業で働く人々の悩みに接してきた著者は、相談者本人ではなく周囲の「職場を腐らせる人」に原因があるケースに着目。15の事例を通して特徴を整理し、精神構造を解き明かしていく。

 まず、"根性論の上司"では、ビジネスの現実を直視せず自己防衛作用から躁状態になっている挙動を疑う。また、"言われたことしかやらない若者"の場合は、経験不足による無能ぶりが露見する恐怖から理屈を並べて仕事を断る自己正当化の心理が働いていると分析する。仕事ができないのに名門大学出身だといって"相手を見下す人"は、承認欲求をこじらせている状態だとみる。もっと恐ろしい例では、自己保身の心理から事実無根の噂話をまき散らし、他者を貶める人もいる。加えてこれら職場を腐らせる人たちは、自分が悪いとは自覚できない病的な状態にあり、心理・行動を変えさせるのが困難だとも指摘する。

 不安感の募る論考だが、後半では、ターゲットにされず、巻き込まれないための対処法がアドバイスされているので、その点は救いだ。


(久島豊樹/HRM Magazine より)

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