権威主義人事の破壊を迫る
著者・上野和夫
ディスカヴァービジネスパブリッシング、定価1650円(税込)
西武百貨店人事部所属がキャリアのスタートだったと著者は明かす。以後、50年にわたり人材開発に携わってきた大ベテランが「仕事観」の"革命"を本書に語っている。
革命というだけに大局的な本質を捉え、かつ未来志向、そして提案内容は大胆だ。男性・生え抜き・年次管理の内部昇進をやっていたら変化対応できるリーダーは生まれないと断言し、「クラシック型」から「フロンティア型」へのリーダー像の転換を訴えている。前半は人的資本やウェルビーイングを含む組織マネジメントおよび個人で切り拓いていく時代のキャリア論を解説。後半は「7つのウェークアップコール」と題して、新時代の仕事観・人生観に気づくヒントを整理し、「変革か死か」という使命感の覚悟と、組織の外に関りを求めていく「越境」を手がかりに、目指すべきリーダーの姿を説き起こしている。最終章では経営者に向けて、若者の力を信じ活用し経営革新を進める本気度を問う。
「権威主義の人事を破壊する」という著者の野心的目標が凝縮された圧倒されそうな1冊。
(久島豊樹/HRM Magazine より)