趣味で食っていくための準備行動を指南
著者・スージー鈴木
新潮社、定価880円(税込)
博報堂に30年勤務しつつ在職中からサブカル系の評論で活躍し、55歳で正式に早期退職した著者によるユルめのキャリア論。会社員でいるうちに「最後は趣味で食っていくための活動」に本腰を入れておこうと提案し、在職中の働き方のTIPSを9章(精神論・時間論・後輩論・管理職論・連絡論・企画書論・会議論・プレゼン論・退職論)にわたって展開している。
一貫しているのは「無駄なく・無理なく・機嫌よく」の「MMK」だ。例えば、4時間かけて100点満点の仕事を仕上げるのではなく、1時間で65点の合格点までいけるなら、4時間で4つ片付けてしまえと「65点主義」を勧める。また、定時退社し、自分の時間を確保するために「明日できることは今日しない主義」を掲げる。さらに、偉くなったからといって自席にふんぞりかえっていては人も情報も離れていくと警告し、歳を重ねてこそ自分から積極的に動き、そうすれば情報も集まるし待ち時間も削れると語る。
一連のTIPSは最後に「カニ十足」(鬼十則のパロディ)として整理され、そのオチもお見事。
(久島豊樹/HRM Magazine より)