「耳の痛い話」を伝えるノウハウ
著者・難波 猛
アスコム、定価1650円(税込)
上司が部下に優しく接するだけで厳しい指導ができない「ゆるブラック問題」が表面化する今、順序立てて「耳の痛い話」を進めるためのタイムリーな指南書が登場した。
本書には5つのマインドセットと5つのスキルセットというテクニカルな知見が公開されているが、現実には「誰が言うか」が説得力に影響するとして日頃の信頼関係の築き方にもノウハウを盛り込んでいる。過去を指摘して「ダメだったね」と言い渡すのではなく、部下のWILL・MUST・CANの整理を通してギャップを明らかにし、人ではなく問題点にフォーカスし、自分の意思で未来に向けて「変わっていきたい」と思うように導く働きかけを解説。「感情を込めるが感情的にはならない」「面談はきれいに終わらせない」「認知不協和を意図的に作る」「期限を決めて見極める(諦める)」といったコツが過不足なくまとめられている。
章を変えて「パワハラにならない伝え方」「部下から上司へのフィードバック(ボスマネジメント)」といった対策も載せ、管理者の悩みにずばり応えてくれる。
(久島豊樹/HRM Magazine より)