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2024年1月30日

【ブック&コラム】『日本の会社員はなぜ「やる気」を失ったのか』

労働生産性が低いのは誰のせいか?

c2401_2.jpg著者・渋谷 和宏
平凡社、定価1045円(税込)

 著者は1990年代から『日経ビジネス』『日経ビジネスアソシエ』の編集に関わり、企業動向を注視してきたジャーナリスト。本書では、失われた30年を招いた経営者たちの選択を検証し、勤労者がやる気を失ってしまった構造の解明を試みている。

 独創的な商品開発ができずに国際競争力を失いつつあった時期にバブル崩壊、金融危機に直面し、雇用・設備・債務の削減に励み、リーマンショックでは派遣切りに至るまで「縮み経営」を強固に進めたことが誤りだったと指摘。あのときコストカットではなく、人材・設備・研究開発への投資を復活させていたら......と悔しさと歯がゆさを漏らす。主な問題点では、①減点主義の脅しの経営、②合理化、リストラを進めるコストカッター型経営、③無駄な会議、過剰な報告、無意味な書類などのマイクロマネジメント等を挙げ、労働生産性の低さは社員のせいではないと力説する。

 会社への改善提案を整理したうえで、それが報われない場合、勤労者の側には転職・副業・起業というキャリアチェンジもありだと誘っている。

(久島豊樹/HRM Magazine より)

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