定年後の働き方と社会保険のつながりを解く
著者・佐佐木 由美子
自由国民社 定価1760円(税込)
「定年」はかつて仕事からの引退を意味する言葉だったが、今では定年後も何らかの形で働くことが自然な流れになってきた。退職後もすぐには年金を受給できないという問題もあろう。年金受給までの「つなぎ」とはいえ、働き方のスタイルには留意が必要だ。本書は定年後の働き方の選択肢を提示してくれるだけではなく、働き方の違いによって年金や保険にどのような影響や変化があるのかを解いている。
著者は、社会保険労務士であり、労務管理や社会保険を専門とする実務家。ゆえに、労務面に偏ることなく、働き方と密接につながっている社会保険との関係を合わせて述べているのが特徴だ。働き方に関するトピックスを『定年前の仕事とお金のギモン』『定年後の仕事と生活のリアル』など8章に分け、全100項目を見開きで図版やイラストを使ってわかりやすく解説。タイトルに『1日1分読むだけで身につく』とある通り、専門家でなくても読み進められる良書だ。
会社勤めが長いと面倒な手続きは会社がやってくれることに慣れてしまい、制度や年金・保険の詳細には疎いものだ。定年以降は、起業を含めて雇用形態や働き方もさまざまで、年を重ねると健康面の不安も増してくる。本書では、働き方に関わる仕組みや年金・保険の知識がどれだけ重要であるかを教えてくれる。
「人生100年時代」に入ったいま、定年後の生活をどのように構築していくか。お金のこと、いつまでどのように働くかなど、確かな知識を備えて個人個人が向き合うテーマになった。ビジネスパーソンにとって、自分らしい働き方とライフスタイルを考えるうえで、有用なヒントが得られる一冊だ。(博)