先日、都内のある大学前を通ったら、構内でヘルメット姿の学生たちが歓声をあげていた。「おっ、学園紛争か」と"期待"まじりに近寄ってみたら、違った。学園祭の一環で、スケボー大会の真っ最中だったのです。連れに「バカだねえ。ヘルメットの形も昔と違うでしょうが」とあきれられた。確かに、違う......。
ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルによるガザ侵攻に対して、世界中で抗議のデモが連日起きている。米国では自動車メーカーの従業員がストライキを続け、欧州では介護士さんらが待遇改善を要求する大々的なデモ行進をした。デモやストはごく普通の示威行動として生きている。
翻って、現代日本では大規模なデモやストが姿を消して久しい。小規模、散発的には見られるものの、社会的な大きなうねりにはなっていない。8月に西武百貨店の経営をめぐって、従業員が全面ストに踏み切ったら=写真、スト自体が珍しいためか大きなニュースになった。ストは労働者の権利であり、憲法も保障しているのに。
日本も半世紀ほど前まで、デモやストは日常茶飯事だった。学園紛争では学生と機動隊が衝突し、春闘では労組がスト権を構えて会社側と徹夜の団体交渉に臨んだ。しかし、気がつけば、そんな光景が消え失せて久しい。それは、日本経済の凋落と軌を一にしているように思われる。国家全体の"元気"がなくなったためだろうか。(本)