ミドルが一歩踏み出すために
著者・間中 健介
新潮社、定価836円(税込)
キャリア・立場を一言で説明するのが難しい多種多様な経験を積み上げてきた著者が、日本企業で働くミドルに向けて一歩踏み出すアクションを訴える。
既存事業・組織の先細りは自明であり、今の仕事に甘んじる限り出世はできず仕事の難度は高まるだけだろうとミドルに対して危機を説く。対して起業のハードルはかつてより低く、アイデアと行動次第で世界に人脈が広がり、資金も集まると可能性を語る(ただし異業種交流会で名刺を配り、飲食をともにしただけでは人脈は作れず、お互いのビジネスに伴走する機会が重要だとも言い添える)。
働き方を「労働者型」「地主型」「事業家型」「貴族型」に分類したり、個人のキャリア資産をバランスシートで例示したりと、オリジナリティあふれる記述は刺激的だ。実行すれば新しい景色が見えるとされる「23の成長戦略」では、SNSでの情報発信、資格・肩書きの断捨離、本屋へ足を運ぶといった行動を個人に誘いかける一方、人事には、転職・休職・副業・出戻りのいずれも身近な選択肢であるべきだと提案している。
(久島豊樹/HRM Magazine より)